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52ヘルツのクジラたちのしょーたのレビュー・感想・評価

52ヘルツのクジラたち(2024年製作の映画)
4.0
杉咲花さんという圧倒的な存在のまわりに、数々の人物、出来事といったフィクションが配置される。
最初はこの物語がどこへ向かおうとしているのか不安だったが、積み重なる数多くの不幸を前に、次第に題名でもある、この世界にいる多くの52ヘルツの鯨たちに思いを馳せることになった🐋
フィクショナルなフィクションを重ねるその手法は、射程を伸ばし、やがて遠くの、まだ見ぬ人たちまで想起させるのかと感嘆し、作品独特の世界感に浸った。

『市子』ではその描き方は対照的だったが、2作品を通じて、凄まじい演技を通じて、杉咲花さんは、フィクション、ひいては映像作品を「信じている」のだなと感じた。
2作品ともに表層的な人間や社会を描いていない。時代が私たちに、これからどう生きるか?を強く問いかけているように思われる現在、少しでも気づき、変化を得ていくためには、映画を信じている人の映画をずっと見つめ続けていきたい。

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