六四二

異人たちの六四二のレビュー・感想・評価

異人たち(2023年製作の映画)
4.0
遠い昔に見た大林版とは雰囲気が違う。
ノスタルジーのひと大林宣彦の作品では鶴太郎の白いランニングシャツ姿と、江戸っ子口調の台詞が記憶に残る。こざっぱりした印象に対してこの度の英国リメイクは独自の要素を加味して重い。重いのが悪いのでなく、同じ原作を使って全く違う味わいの映画が出来ることに驚く。私が見た山田太一はプロットの妙よりは時代の空気を鮮烈に意識させる作家。原作の力、即ち山田太一を想う。

若くして死別した両親に再開することが出来たら...
甘え足りないままに、ながの別れをさせられた恨み。言えぬまま聞けぬままだったことを伝え、聞く。彼岸の境界で「まだ足りない」と駄々をこねる天涯孤独の四十男に英国版は重たくトドメを指すのだ。
六四二

六四二