囚人13号

Hereの囚人13号のレビュー・感想・評価

Here(2023年製作の映画)
4.5
久々にショット全振りした映画を観れて満足。冒頭で一瞬スマホが映る以外(ここも現代を意味する記号としてのみ処理される)全く2023年作と思えないのが良かった。

ガラスを隔てた光が反射/屈折して机を鈍く照らすショットは殆どヴェンダースだし、自然光と人工光の巧妙な対比や中華料理屋での光源配置は特に見事。
冒頭のバスと同じく、森林も陽光を遮るという窓ガラスと同等の働きをさせる機能性まで抜かりなし。

自然界の最小単位である葉緑体を映画の最大値であるクロースアップ(顕微鏡)で見せる学究性は彼女の職業に補完される。
スープの贈与によって人との関わりを絶ってきた男がはじめて苔へ興味を示すシーンの省略も素晴らしいし、いつの間にかポケットに入っていたという種が無意識のうちに彼を緑へ向かわせる。

フィルム質感といい、感性だけが自分の波長にピッタリ合った映画に出会えて嬉しかったなぁ。パンフレット買っちゃった。ゴースト・トロピックも観たけど書く時間ないんで明日投稿します
囚人13号

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