文芸作品とはいえヘミングウェイなので静かなアメリカ映画。迫力もそれなりなんだけど、技術の進歩によって荒波というスクリーンプロセスの虚構が露呈されてしまう残酷さは免れない
幼少期に観たけど記憶になく、未見同然なのに観てると言い張ってきたやつ。いい映画ぢゃないか。
人間から観測されることはなく、言葉のコミュニティに属することのできない「天使」は個の中に隠された内面を聞き>>続きを読む
別段美女でもないディートリッヒに男装させ、徹底した「脚」への執着から官能性を浮かび上がらせるスタンバーグは只者じゃないと、大した話じゃないのにこの一本で分かる。
嘆きの天使から上海特急までキャメラが彼>>続きを読む
グッチハマーが褒め倒してたが彼ほど明確な意図は無いし、本読みから徐々に「ショット」へ接近していくまで(結局完成してないが)見せるアイデアに全てを賭けてて限りなく内輪というか、まずもってダサいし結局は自>>続きを読む
人生ベスト級。展開はずっと荒唐無稽としか言いようがないし、デジャヴ(既視感)なのに17世紀と現代が交錯していく大傑作。
姿を反射するシンメトリー装置であった「鏡」が徐々に虚像を引き寄せ、その共通項と>>続きを読む
少年時代を追体験していく過程でキャメラは次第に男の主観から解き放たれ、祖父や天国といった彼自身も知らない世界に(しかし話を聞き、想像を巡らせたという点でなら同じ少年期の記憶ではある)まで侵入していく。>>続きを読む
思い出し記録。めちゃくちゃ面白い。吃音青年が好色のふりをして本を書き、略奪婚を果たすまで。
橋上にヒロインがやって来て、真下でボートに乗っているロイドが水面への反射で彼女の顔を見るも(彼は幻覚だと思い>>続きを読む
貴族どもチョロすぎ映画。チャップリンが初期作で幾度となく取り上げている「成りすまし」という主題も、本作のロイドは貴族側からの提案で変装してるので危惧するべきは正体よりも露出したパンツ。ロイドって動物に>>続きを読む
イッヌに強盗させるってアイデア一辺倒だけど嫌いじゃない。ずっと香港映画みたいなBGM垂れ流しながら、訓練シーンは名犬ラッシー(変なスローモーション)しててとにかくテンションがいい。分け前で揉めると女を>>続きを読む
家政婦の岩塩みてーな顔やメタ伏線張って帰る孫、タルチュフ氏の豚まんフェイスなど「顔面」の画力が映画内映画を牽引していく。
同性愛的な匂いは妻の誘惑シーンに上塗りされるし、視線劇からカットで身体を上下分>>続きを読む
本作は例外的に「シネマ」の輪郭を留めているように思えるが、この現象は労働/人種コンプレックスというカフカ的主題に(ナチス占領下のフランスで育った)ストローブ=ユイレが強く共鳴しているゆえと知った。>>続きを読む
リザベス・スコットが噂に違わぬクソ女で安心したが、グリードみたく金に取り憑かれ狂っていくグラデーションを期待してた(人間性の落差が見たかった)んでそこは残念。
キスが悉く欺瞞という面の厚さも考えよう>>続きを読む
まーじで冒頭30分だけなら今年観たどの映画より最高だった説ある。
序盤の駅から反射光の収めかたが卓越してるし、文明の夜はそこら中に光源が転がってるので照明機材も殆ど使われてない生々しさが素晴らしい。都>>続きを読む
久々にショット全振りした映画を観れて満足。冒頭で一瞬スマホが映る以外(ここも現代を意味する記号としてのみ処理される)全く2023年作と思えないのが良かった。
ガラスを隔てた光が反射/屈折して机を鈍く>>続きを読む
観てるだけで肺に異常をきたしそうなスラム、常に画面の半分近くが真っ暗で疲れた。相変わらず白人は排除され、ヴェントーラの痙攣や傾いたカメラアングルなど全てが飽和して不穏この上ない構図が完成する。
帰宅>>続きを読む
トリプル・エクランからガンスみたくショットを多角的に見せるのではなく、重なる歌声が三つの世界を繋ぎ止めている。
急に歌いだすし全く瞬きしてないあたりCGというか恋のマイアヒ思い出して笑っちゃったが、画>>続きを読む
スタンリー・クレイマーあたりが撮りそうな裁判映画。或る殺人から台詞のヘイズ・コードは事実上撤廃されたので(米兵による)少女強姦について踏み込んだやり取りがあるし、彼ほど啓蒙的ではないので退屈はせず。>>続きを読む
前半のみ再見。これまた狭隘な世界で、自分≒他人という哲学めいた問いや入れ込み構造が今読んでるレーモン・ルーセル(クッソ読みにくい!)に少し似てるとか思いつつ。
舞台上の二人を片方ずつ切り返して向かい合>>続きを読む
みんなの言う「運動」も濱口映画においては単なる挙動に留まっているし、ひたすらに狭められた視野へ世界を収めてきた彼であるが、今回明らかに何か変わろうとしている気概が感じられたので収穫はデカい。
端的に>>続きを読む
ブレッソン『罪の天使たち』にはじまり、絵画も包括せんとする亜流芸術史。タイトル直前に『決別』の名高い船の移動撮影がありやっぱここ気に入ってんだなとか思いつつ。
映画史より更に一貫性のない編集だったんで>>続きを読む
再見(2022)。アカデミックな作風にそこまで熱狂してるわけじゃないが、時代の寵児としてやはり観れるものは観ておきたい。
喪服を着たままでいる男の異様な存在感、冠婚葬祭入り乱れる序盤から無媒介的にフ>>続きを読む
とにかく切り返し/発砲の量がエグい映画。登場人物が(同期、相棒、夫婦など)常に一対=二人組として登場するバディ構図もイーストウッド以降は孤立した男へ変わっていく。
序盤の望遠レンズや屋上での短いアクシ>>続きを読む
民主主義の暗部。オペラハットあたりから明らかな作風の変遷が見られる(楽観性からヒューマニズムへ傾いていく)ように、理想主義で固められていたキャプラ映画が次第にアメリカの現実に気付きはじめてる。
救援の>>続きを読む
すまんが合わなかった…。僕はベロッキオ一本も観てないので、どうしても無理して撮ってるとしか思えず。
劇伴は悪い意味で過剰だし、(接吻=服従という)異常心理や倒錯じみた描写が飛び抜けてただけに、逆ベク>>続きを読む
愛の映画。愛ゆえに歴史を書き換え、国家を敵に回した男というフラーらしからぬ話であるが、これが中々面白い(西部劇らしさは皆無)。撮影がジェームズ・ウォン・ハウなので寺院の縦構図、クライマックスの首吊り縄>>続きを読む
やってることは凶暴なキテレツ大百科なんだが、血流ぶっかけやらショットガンBBAやらとにかくテンションが異様で最高。あのバスケットボールは流石に笑うって。
死体に電子頭脳を取り付ける蘇生作戦(時間がきた>>続きを読む
良質な自転車レース映画。『ヤング・ゼネレーション』と双璧をなす傑作(脚本が同じ人)で、ギアチェンジやブレーキの瞬間にアップ・主観の短いカットを重ねるMVぽい編集が超かっこよかった。
タイヤと脚の回転>>続きを読む
ジェームズ・スチュワートという俳優イメージから長らく抑圧されてきた、彼の性欲メタファーとしての(恐らく童貞にしか見えない)巨大ウサギ。
ゆえに結婚やセックスにばかり過敏でファンタジーを信じない輩は見る>>続きを読む
好みでいえばこちらかも。青山真治『WILD LIFE』のクライマックスと同じ薄汚れた廃墟から始まるオープニングが暴力性のピークで、あとはもう只管にやるせなさだけが引き伸ばされていく。
前作で実行犯を倒>>続きを読む
冷徹さを見せるためだけに行われるモブ殺しが徹底して俯瞰から処理され、感情移入どころかヤバい以外に感想が出てこない。
妻が死んだ事より敵を殺すことしか興味ない哀川翔が、小日向文世を誤射してしまい流石に慌>>続きを読む
土偶みてーな顔色のジョーン・コリンズが悪女という歴史物であるが、主役は常にヘソ出してる彼女や大王ジャック・ホーキンスではなくやはり大ピラミッド。とはいえその全景はラストしか登場しないのだが、大いなる建>>続きを読む
マジでずっと何やってるか全く分かんないのに面白い。主人公すら状況を理解してないし、敵味方を描き分けることなくサスペンスだけが無限に引き伸ばされていく狂気はクルーゾーの脳内を見てるみたい。
自宅と精神病>>続きを読む
サイレントの続編をトーキーで撮るという難題への回答が、ここからアメリカ神話に統合されると思うと興味深い
徹底して見せない不可視サスペンスが恐怖演出となるのは『M』から戦後スリラーまで変わらないし、サ>>続きを読む
出てくる女の子がみんな型落ちのアンナ・カリーナみたいで怖い。ファッションなんて革ジャンしか知らんのでこれは評価できんが、パパラッツィにもあった出崎の三度パンみたいな演出だけ印象に残る
社畜の限界ヴァカンス、これもある意味不自由についての映画。
ロジエがなぜ船にこだわるのかといえば、そこには都会的なルールも「壁」という物質的な隔たり存在しないし、他のどんな交通機関よりも素肌で自然を享>>続きを読む
処女長編という括りで相対化してみてもトリュフォーやユスターシュよりロジエの圧倒的な育ちの良さが出てる
しっかし長すぎるぜこれは……マジ尺半分で全然いける話なのに引き伸ばしまくり、五回くらいエンドロー>>続きを読む