この好打率！ホームランは少ないが、どんなジャンルも一程度のレベルまで持っていくクリンヒッターの藤井道人監督作。
本当は観るつもりはあんまりなかったのですが、すこぶる評判が高かったのと、GWが過ぎ去り、憂鬱な気分を青春の爽やかな風で吹き飛ばしたい？と思い、午後休を取って映画館に向かいました。
お話自体はよくあるパターン。かつて知り合い、想いを募られせていた女性に会うために旅する純な男性の物語です。
台南に住む18歳のジミーは、怪我でバスケットボールを諦め、夢を見失っている。今はカラオケ店でアルバイトをしている。
そこに日本からバックパッカーとして台湾を訪れ、その店で働くことになったアミ。
ジミーはすぐにアミに恋心を抱くようになる。
2人でバイクに乗り、台南の街を走る場面の爽やかなこと！
主演のシュー・グゥアンハンと清原果耶。
2人のナチュラルな演技も好感度バツグンで、何かカラオケ屋のオヤジさんみたいな温かい気持ちで2人のまだ恋にならない見つけていた。
2人で一緒に観た映画は、岩井俊二の
「Love Letter」 藤井監督のこの映画への
Love Letterなのかもしれない。
映画は18年後のジミーと高校生として4歳歳上のアミに憧れるジミーを交互に観せていくが、クライマックスになると、その
描写が加速していく。
ジミーが別れるアミを誘った台湾のランタン
18年後のジミーが旅先で出会った人とランタンを上げるシーンが折り重なる場面、
撮り方、見せ方が上手いねえ〜涙が自然に落ちてしまった。
そして、映画は予想外？のクライマックスに進んでいく。
後から思えば、それも含めてよくある展開だとは思うけど、話の進め方や撮影、そして、大手映画の「お涙優先作」のオーバーな「感動キタ〜（正確に言うと感動キテホシー）」のオーバー演技にならず、ギリギリのところで抑えの効いた演出など、藤井さんの手腕がハマっていく。
（2人で聴くミスチルをあえて流さないとか、映画の場面も直接映さないとか、こーゆー我慢がクライマックスの感動を呼ぶのだと感じた。）
ダブル主演（この言葉最近、よく使われるけど、、あまり好きじゃないな、、）と
うたっているが、物語の多くはジミーの視線で進んでいく。シュー・グゥアンハンさんが、18歳とその18年後を巧みに演じ分けてるのが素晴らしい。
もちろん、清原果耶さんも素晴らしい。あんな女の子が急にバイトに来たなら、「惚れちまうがな〜！」
（清原さんは海外作品にも出て欲しいな、）
観て損はない、爽やかな皐月の風のような映画でした。
