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Shambhala(原題)
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『Shambhala(原題)』に投稿された感想・評価

[ネパール、シャンバラへゆく者] 80点

傑作。2024年ベルリン映画祭コンペ部門選出作品。ミン・バハドゥル・バム長編二作目。ネパールはヒマラヤ山麓にある小さな村には、一妻多夫の伝統がある。家系を維持しながら必要最低限の物資で生活できるということで、この伝統は長年に渡って続いてきたが、現代では観光客の増加や外文化の流入によって、あと数世代で滅びそうという調査結果もあるようだ。主人公ペマはタシという青年と結婚する。彼には二人の弟がいて、上の弟カルマは僧侶として近隣の寺院で過ごしており、下の弟ダワはまだ小学生くらいだ(彼らとも結婚したことになる)。ペマと同年代で魅力的な好青年タシ、禁欲的で控えめなカルマ、悪ガキで男らしいタシに憧れて学校を嫌うが農夫ではなくパイロットになりたいというダワは全く異なる性格のキャラクターとして登場し、それぞれがネパールの現状を表しているようで興味深い。タシがラサへの交易へ行くことになり、悪ガキと二人で家に残ったペマは、彼を学校へ連れて行くための相談としてダワの先生を家に招くが、直後に妊娠が発覚したため村人たちから怪しまれ、その噂を知ったタシは家に帰らず交易隊から離れて行方不明になってしまった。ペマは体調の悪い導師から離れたがらないカルマを説得してもらい、二人でタシを探す旅に出る。まず目を引くのは、ヒマラヤ山麓の雄大な自然だろう。人が生活する場所以外は基本傾斜があって、画面背景の殆どが遠くに見える山々に囲まれている。頑張れば行けるんだろうけど多分届かないという広さと、空が見えない狭さが共存する不思議な画面で、物語は展開する。山がデカすぎて距離感覚がバグる感じは映画にも表れている。旅に出てかなり時間が経ってなんもないとこにいる二人を母親や先生が追いかけてくるのだ。物語を進める"ご都合主義"には全く見えず、寧ろ大きなお盆の中に閉じた世界であることを強く意識させる。また、前作『黒い雌鶏』では徐々にズームアウトすることで視界の外にある内戦を意識させるような画面設計をしていたが、今回は殆どゆったりと地上を舐めるようなパンとドリーだけで構成されている(DPは前作同様アジズ・ジャンバキエフ、エミール・バイガジンの暗黒青春譚『ハーモニー・レッスン』も担当)。

"シャンバラ"とはいわゆる理想郷を指しており、本作品でもペマの夢の中に登場する。タシがいなくなって、それぞれの夫、及び自分と向き合うパートになってから、その夢をよく見るようになるのは、ある意味でシャンバラに導かれるように近付いていることの証左なのだろう。ならばそれはどこにあるのか?世界がすり鉢状に閉じている本作品において、カメラが地面に這いつくばって上すら見上げないのは、地続きにあるべきシャンバラを探しながら、上空にある本体を見ようとしないようでもあるのだ。あんな好青年だったタシも自分本意な男でしかなかった、宗教者カルマはそこから抜け出すことはなかった、年少のダワは漠然とこの世界から抜け出そうとしながら結局タシの轍を踏んでいる、唯一この世界から抜け出せる存在である先生は特大の災いを齎し去っていく。途中のある村では、似たように姦通の疑いをかけられた女性が無実の証明に失敗して自殺したという事例が紹介される。こんな男たち或いは男たち中心の社会を前にして、ペマは少しずつシャンバラへ近付いていく。終盤はパンと呼応するように画面サイズが縦に縮小していき、まるで地上に愛想を尽かしてシャンバラへ旅立とうとしているかのようでもあった。
CHEBUNBUN

CHEBUNBUNの感想・評価

3.5
【心象世界はセピア色】
動画版▼
https://www.youtube.com/watch?v=DvNvClLWBjo&t=68s

第74回ベルリン国際映画祭コンペティション部門に初めてネパール映画が選出された。監督のミン・バハドゥル・バムは日本でも東京フィルメックスで紹介されており、『黒い雌鶏』以降久しぶりの作品である。彼の立ち位置は、チベット映画界の重鎮ペマ・ツェテンと似ており、ネパールインディペンデント映画組合の会長を務めるほか、映画プロダクションShooney Filmsを立ち上げて、後継の映画人を育成しているとのこと。そんな彼の新作『Shambhala』を観た。タイトルはチベットの伝説上の場所であり、いうならば桃源郷といった場所だ。

カザフスタン映画『ハーモニー・レッスン』の撮影を手がけたアジズ・ジャンバキエフの手によるゆったりとしたズームがネパール山村に流れる雄大な時を捉えていく。本作は150分あり、内容自体は90分ぐらいのものだが、スローシネマとしてのペースでありのままの大地を捉えていくのである。そのため、タイトルが出るまで47分も要する。

主人公ペマは、夫のタシが交易の旅に出ている最中に妊娠をする。不倫を疑われる中、彼は失踪してしまう。そこで僧侶のカルマと彼を探す旅に出るというもの。荘厳な雰囲気の中、展開される儀式は抑圧される女性を浮き彫りにする。対して旅に出ると、開放感溢れる景色が広がっているが、山の麓という谷の構図が、彼女の出られない運命を象徴しているように思える。

さて、本作は回想シーンのような場面でセピア色に変わる。これを観てペマ・ツェテンっぽいなと感じた。ペマ・ツェテンは『轢き殺された羊』でセピア色の心象世界を描いていたが、ミン・バハドゥル・バム監督も同様の手口を使っていた。

岩波ホールがない今、日本公開は難しいと思うが、東京フィルメックスあたりで上映されそうな作品といえよう。