CHEBUNBUNさんの映画レビュー・感想・評価

CHEBUNBUN

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札束無情(1950年製作の映画)

3.0

【大胆に盗み散っていく男たち】
黒沢清が好きなフィルム・ノワール、そしてリチャード・フライシャー作品『札束無情』を観た。フィルム・ノワール自体が苦手なのでそこまでピンとは来ないものの、演出の切れ味はそ
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Direct Action(原題)(2024年製作の映画)

3.0

【フランスの三里塚映画】
ベルリン国際映画祭エンカウンターズ部門にて作品賞を獲った3時間半に及ぶドキュメンタリー映画『Direct Action』を観た。

本作は過激派農村コミュニティの活動を定点的
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The Visitor(原題)(2024年製作の映画)

2.5

【トランクから生まれた黒人はうんこを振る舞う】
ジョン・ウォーターズが絶賛した『Saint-Narcisse』のブルース・ラ・ブルース新作はピエル・パオロ・パゾリーニの名作にして家侵入ものの代表作『テ
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トラペジウム(2024年製作の映画)

4.0

【脆くてグロい不等辺四角形(trapezium)】
動画版▽
https://www.youtube.com/watch?v=ShMzkBYTSZE

X(旧:Twitter)で物議を醸しているアニメ
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殺人カメラ(1952年製作の映画)

3.5

【カメラ版デスノート】
Prime Videoでロベルト・ロッセリーニの作品がたくさん追加されていた。今回は『殺人カメラ』を観てみた。

本作はカメラ版デスノートであり、写真を再度撮影することによって
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無限の青空(1935年製作の映画)

2.5

【青空はなかった】
コスミック出版のDVDBOX「密林の黄金」にハワード・ホークスの航空映画『無限の青空』があったので観た。

霧の中、パイロットたちが自分の腕前を信じて操縦する。映画は管制室と機内を
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マグダレーナ・ヴィラガ(1986年製作の映画)

3.5

【ニナ・メンケス流「ジャンヌ・ディエルマン」】
動画版▼
https://www.youtube.com/watch?v=sUGVZmWdrIY

明日5/10(金)よりヒューマントラストシネマ渋谷ほ
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ブレインウォッシュ セックス-カメラ-パワー(2022年製作の映画)

4.0

【ニナ・メンケス女性映画史特講】
CPH:DOXにニナ・メンケス映画があった。ニナ・メンケスといえば『Queen of Diamonds』で知られる女性監督である。彼女が映画におけるジェンダー描写や映
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エリ・エリ・レマ・サバクタニ(2005年製作の映画)

3.5

【閉塞感のあがきと音】
苦手監督に青山真治がいる。いまいち映画理論と面白さが自分のなかで紐づかないものがあって苦手なのだが、急に『エリ・エリ・レマ・サバクタニ』が観たくなって挑戦してみた。

ガスマス
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SHOAH ショア(1985年製作の映画)

4.0

【『関心領域』の資料】
寄稿のために再観。

再観すると冗長で無駄に感じる部分や、クロード・ランズマンのドキュメンタリーに対するアプローチが倫理的にどうなのかといった問題はあるが、それを含めて重要な一
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スパイダー/少年は蜘蛛にキスをする(2002年製作の映画)

3.5

【運動の停滞は人生の停滞】
デヴィッド・クローネンバーグの作品はたいてい観ているのだが、この作品だけ抜けていたので今回観てみることにした。クローネンバーグらしいテーマの作品であった。

列車が駅に到着
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世界の終わりにはあまり期待しないで(2023年製作の映画)

5.0

【AIだって、TikTokだって「映像」という宿命で繋がっている】
動画版▼
https://www.youtube.com/watch?v=uohxJqrXLPY

ルーマニアのラドゥ・ジューデ(ラ
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ゴジラxコング 新たなる帝国(2024年製作の映画)

4.0

このレビューはネタバレを含みます

【これぞ真の「超実写化」】
動画版▽
https://www.youtube.com/watch?v=mVJHM1lBmIc

『ブレア・ウィッチ』や実写版『DEATH NOTE』を手掛け、どれも知能
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霊長類(1974年製作の映画)

4.0

【動物実験の裏側】
フレデリック・ワイズマンの昔の作品は強烈らしいとききつけて、その代表作である『霊長類』を観た。

本作は猿を使った実験場を捉えたドキュメンタリーである。狭い空間の中に3匹の猿を放ち
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ドルチェ 優しく(1999年製作の映画)

3.5

【黒沢清のお気に入りだけあって】
黒沢清のお気に入りのソクーロフ映画。

アレクサンドル・ソクーロフはドキュメンタリーになると、より実験映画色が強くなる傾向があるのだが、本作も同様だ。青年将校として奄
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秋立ちぬ(1960年製作の映画)

4.0

【牧歌的なレールは地獄へと続く】
東京へ上京し、親戚の家へ居候することとなった少年の夏を描いた作品。前半は「ぼくのなつやすみ」たる牧歌的演出が目立つ。例えば、銭湯で都会っ子に馬鹿にされた少年が水をぶっ
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秋日和 ニューデジタルリマスター(1960年製作の映画)

5.0

【小津安二郎カラーの空間美学】
一年に一度、小津安二郎を観たくなる時期が来る。今回は久々のカラー時代の小津安二郎ということで『秋日和』を観た。

亡き友の三輪の七回忌の場面から始まる。ふすまによって三
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L'ete dernier(原題)(2023年製作の映画)

3.7

【わたしは夫の息子に欲情する】
動画版▼
https://m.youtube.com/watch?v=J88FZNHxH7M&t=123s

昨年のカンヌ国際映画祭に出品されたカトリーヌ・ブレイヤ新作
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ストロンボリ/神の土地(1949年製作の映画)

4.0

【結婚は地獄】
ロベルト・ロッセリーニは火山に荒涼とした人の心を託す。女は結婚し、男に連れられて火山島にやってくる。想像と異なる荒廃具合に狼狽し、引き返そうと懇願するが、彼女をモノ扱いしている彼は聞く
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スポンティニアス・コンバッション/人体自然発火(1989年製作の映画)

4.0

【景気よく発火する人体】
黒沢清のお気に入り作品に挙がっていたトビー・フーパー『スポンティニアス・コンバッション/人体自然発火』を観た。これが景気よく人体が発火する作品であった。

突然、人体が発火す
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シャドー・メーカーズ(1989年製作の映画)

3.5

【『オッペンハイマー』第二部】
『オッペンハイマー』で突然注目された作品『シャドー・メーカーズ』を観た。これが、ほとんど『オッペンハイマー』の第二部であった。

本作はマンハッタン計画により、荒野に科
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青春(2023年製作の映画)

5.0

【ワン・ビン最高傑作!】
動画版▽
https://www.youtube.com/watch?v=lDvG37x39xk&t=21s

2023年のカンヌ国際映画祭コンペティションで話題となったワン
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成功したオタク(2021年製作の映画)

3.0

【脆きアイドル信仰との向き合い方】
動画版▽
https://www.youtube.com/watch?v=IpoMlIFqgPI

推しに認知され「成功したオタク」であったものの、彼が性犯罪で逮捕
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珈琲時光(2003年製作の映画)

3.0

【東京を捉えるメタ的視点】
カイエ・デュ・シネマベストに入っていた侯孝賢の『珈琲時光』を観た。

正直、小津安二郎リスペクトの映画として観ると、手ブレが激しく単に彼の真似をしているようにしか思えない。
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アララトの聖母(2002年製作の映画)

3.5

【記憶を記録する渇望】
昨年、TSUTAYA浅草ROX店で引き上げてきたレンタル落ちDVDの『アララトの聖母』を観た。アトム・エゴヤン監督はイマイチパッとしないことが多いのだが、本作はヴィクトル・エリ
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ミュージック(2023年製作の映画)

3.0

【ストローブ=ユイレ系はよくわからない】
昨年の東京国際映画祭で話題となったアンゲラ・シャーネレク『MUSIC』を観た。アンゲラ・シャーネレクはストローブ=ユイレに近いイメージがあり苦手なものがあるが
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異人たちとの夏(1988年製作の映画)

4.0

【ザ・フライみたいだな】
寄稿のために観直した。意外と原作通りでびっくりしたのだが、肉体の変化に内面が気付けない様は『ザ・フライ』だなと思った。


<リメイク版との比較に>『異人たちとの夏』ノスタル
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No.10(2021年製作の映画)

-

【ヴァーメルダムは監視の末、はるか遠くへ投げ出した】
『ボーグマン』の鬼才アレックス・ファン・ヴァーメルダムが長編10作目として『No.10』を発表した。毎回、奇天烈な世界観を提示してくるヴァーメルダ
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テリファー 終わらない惨劇(2022年製作の映画)

4.5

【理路整然たる狡猾狂気】
「全米が吐いた」ことで知られる『テリファー 終わらない惨劇』。なぜか、カイエ・デュ・シネマがやたらと褒めているのでホラー映画苦手な私も観てみることにした。前作は、画期的であっ
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名探偵コナン 100万ドルの五稜星(みちしるべ)(2024年製作の映画)

1.5

【不気味なオトナ帝国の忍び寄り】
「ゼロの執行人」以降、『ワイルド・スピード』的ファミリー×アクション大作化している名探偵コナンシリーズ。最新作を観たのだが、これはコナンがドラえもんやクレヨンしんちゃ
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虹を掴む男(1947年製作の映画)

3.0

【今だと統合失調症の深刻な物語になるだろう】
Prime Videoに『LIFE!』の元ネタである『虹を掴む男』があったので観てみた。

妄想癖のあるウォルター・ミティは油断すると自分の世界に入り込ん
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Maya(原題)(2018年製作の映画)

2.5

【ミア・ハンセン=ラブは旅行が好き】
ミア・ハンセン=ラヴの日本未公開映画『Maya』を発見したので観た。後の『ベルイマン島にて』に通じるものがある作品であった。

フランスのアート映画では時折、アフ
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有りがたうさん(1936年製作の映画)

4.0

【清水宏のシンプル・イズ・ザ・ベスト】
無性に清水宏映画を観たくなったのでDVDを取り寄せて観た。シンプルなロードムービーでありながら複雑なショットを実装していく映画の勉強にふさわしい作品であった。
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Trenque Lauquen parte II(原題)(2022年製作の映画)

3.2

【「記録」を辿る者と「記憶」を辿る者たち】
動画版▼
https://www.youtube.com/watch?v=73ZwVmyfLes

アルゼンチン映画が密かに盛り上がりをみせている。14時間
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Trenque Lauquen parte I(原題)(2022年製作の映画)

3.2

【「記録」を辿る者と「記憶」を辿る者たち】
動画版▼
https://www.youtube.com/watch?v=73ZwVmyfLes

アルゼンチン映画が密かに盛り上がりをみせている。14時間
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マクロスプラス MOVIE EDITION(1995年製作の映画)

3.5

【熱量は『トップガン』!!】
VTuber以前のヴァーチャル・ビーイングを考えるにあたり『マクロスプラス MOVIE EDITION』を観るとよいとアドバイスを受けたのでPrime Videoで観てみ
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