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正義の行方のJellyfishのレビュー・感想・評価

正義の行方(2024年製作の映画)
5.0
既に判決が確定し死刑執行が済んでいる幼児殺人事件をめぐるドキュメンタリー。元は NHK のドキュメンタリー番組 (未見) を、たっぷり3時間の長尺で映画化。

この事件、何故か犯人とされる男は一切証言をしていないし、既に死刑が執行されこの世に存在しない。故に、現時点でこの事件を語れるのは警察と弁護士と報道機関のみ。この三者それぞれが語る「正義」の記録。

おおよそ
・死刑確定
・再審請求
・調査報道
の三部構成で、それぞれに新たな進展があり、長尺ながら飽きることがない。特に終盤で、あの警察庁高官が絡んで来るのには驚いた。

やはりNHKが調査報道している「大川原化工機冤罪事件」などでも明らかだが、警察や検察が証言や証拠をでっち上げるのは今や誰もが知るところ。そして悪名高き MCT118 DNA鑑定方式と科警研。まさに冤罪製造機。
一方で、死刑判決に至るまでの弁護活動にも疑問が残る。死刑執行後いくら再審請求を頑張っても後の祭り。請求を認めない裁判所に対するもの言いもどうかと思う。そこに漂う駄目リベラル臭。
本作は、報道機関が自戒を込めて作ったのだと思うが、そのスクープ優先、視聴率優先の報道姿勢は改善されているのだろうか。

結局、三者三様の言い分はどれも決定力に欠け、今や真実は藪の中。モヤモヤ感は全く晴れないのだが、そこも含めて見応え十分な傑作ドキュメンタリーと思う。
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