Imai

燃えるドレスを紡いでのImaiのレビュー・感想・評価

燃えるドレスを紡いで(2023年製作の映画)
4.8
職場の皆んなで最終日滑り込み劇場へ。
いや、ほんと見に行かせてもらえて良かった。

まず初めに、私の職業は実はパタンナーなんです。
この仕事してると、というか、この業界で働く身としては、この映画が良かった!っていう感想が正解なのか、それすらも疑わざるを得ないというか、なんというか、。
中里さんが度々言っていたが、本当に言葉にするのは難しい。
ケニアの現状を目の当たりにして、私はずっと眉間にシワを寄せていた気がする。

持続可能だSDGsだなんだと巷では流行りのように言葉だけが広まってはいるが、
もちろん私も含め、みんな結局のところ現状を何も知らないのではないかと。
それを直に感じにケニアまで旅した中里さんは率直に凄いと思うし、
この手の問題を、テーマとしてコレクションに落とし込むリスクや労力を考えたら、なるほど確かにこういう人こそ今のファッション業界に必要なデザイナーなのだな、と。
何となく伝えたいと思うだけでは中途半端で、不謹慎なものになりかねないから。

服作り続けることは果たして正解なのか、、。
ものが溢れる世界で、必ずしもこれ以上作る必要は無いと分かっている。
作れば作るほど、その皺寄せを受ける人達がいる。
それでも尚、ものづくりをしたいと思うし、作らなければ食っていけないし、作ることが人に伝える手段になっている。
この矛盾はどうにもならない。

根本的な解決をするのは到底不可能だけれど、
服を作る人間として、私はこの矛盾と向き合い続けなければいけないと思った。
Imai

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