空き家の高級マンション一室。家主ではないのに鍵を所持する3人の男女(納骨棚セールスマンのシャオカン、露天商のアーロン、不動産営業のメイ)がそこを拠点に交わったりニアミスしたりする。人間関係がほぼ構築されないのですれ違いではなくあくまでニアミス。
3人それぞれが抱える都市における孤独感や閉塞感がうっすら伝わる。あくまでうっすら。
シャオカンは休日ドライブの行き先も納骨棚選んでしかもつまんなそう。無趣味。セクシャルマイノリティ的な描写も。アーロンは先行きヤバそうな、多分車中生活。貿易商社長だって嘘ついてりもする。メイは仕事大変そうでストレスフルな感じ。
演出はセリフすら極限まで削ぎ落とし、とっても写実的。結果として、苦しみだけっていうよりは滑稽さも目につく。例えば、シャオカンとアーロンが半裸で一緒にこそこそ逃げてなんとなく打ち解けたり。メイがアーロンを見かけたとき妙にウロチョロしたり。ベッドインのときもなんかもっさりしてる。
なんだか彼らの悩みはまあいいんじゃない?と思えてしまう。誰かといるときは楽しそうだから、一過性の応急処置でも誰かと笑ってればいいじゃんと思っちゃった。きっと監督の意図とは違うのだろうけど、ドラマチックな心情吐露がないぶん自分勝手な感想がうまれた。これはこれで作品としてすごくいいことだと思うんですがいかがなもんでしょうかね。