彦次郎

オテサーネク 妄想の子供の彦次郎のレビュー・感想・評価

オテサーネク 妄想の子供(2000年製作の映画)
3.6
想像妊娠とチェコの民話『オテサーネク(食人木)』を絡めた鬼才ヤン・シュヴァンクマイエル監督によるホラー。
不妊に悩む妻のため切り株を赤子としてプレゼントするも妻は息子と思いこみ溺愛、遂に「オティーク」と名付けられた切り株は自らの意思で動き出すことになるといった展開です。
このオティークの食欲は留まることを知らず猫、人間(郵便配達人、福祉事務所の人)まで喰らうモンスターと化すのですが夫妻の隣人の娘アルジュビェトカが更にオティークの食事の世話(勿論相手は人間)までしていくのが純粋ゆえに怖かったです。このアルジュビェトカはジャケットに移っている少女ですが絶妙に気味の悪い表情というかビジュアルです。監督の意図は不明ですが寓意性の高い話なので人物描写はリアル路線ということにも思われます。
ヤン・シュヴァンクマイエルといえばストップモーションアニメーションと不味そうな食事シーンで有名ですが本作でも例外なく取り入れられており同監督の『アリス』や『ファウスト』と比べて人間が感じる不快レベルでは増強された感があります。不快といえばアルジュビェトカに欲情する正真正銘の幼児性愛者眼鏡老人がオティークを上回る気色悪さでした。
アパートの管理人のおばちゃんの行為がいかなる結末になるかは『女か虎か?』のようなリドルストーリーになっているのが印象的でした。
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