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非情の標的のHKのレビュー・感想・評価

非情の標的(1972年製作の映画)
3.0
イタリアのセルジオ・ソリーマ監督(『狼の挽歌』『血斗のジャンゴ』)の70年代ユーロ・クライム。
原題は“La Poursuite implacable”(絶え間ない追及)
主演は久々に見るオリバー・リードと、もう一人はファビオ・テスティという知らない人。

ある刑務所の副所長(リード)の若い妻が誘拐され、無事に返して欲しくばある囚人(テスティ)を釈放するようにと誘拐犯から脅迫されます。
囚人は誘拐犯に心当たりがないと言い張りますが、副所長は妻のために独断でその囚人を刑務所から脱走させ、誘拐犯と交渉しようとします・・・

ソリーマ監督作は本作にしろ『血斗のジャンゴ』にしろ、一筋縄ではいかない男の友情と裏切りを描いており、本作も一部で非常に評価の高いと噂の作品。
ただ私としては、話がややこしくまだるっこしい展開で、ラストの後味も良いとは言えず、カタルシス皆無のいまいちの犯罪映画でした。
ブロンソン主演の『狼の挽歌』あたりはもっとシンプルで面白かった気がするんですが。

リードは相変わらず獣人のようなご面相で終始ニコリともせずラブシーンが似合いませんが、テスティの方は対照的に常にヘラヘラした二枚目でどうも好きになれないタイプ。
本作で他に印象に残ったと言えば、いかにもモリコーネといった劇伴くらいでしょうか。
OPとED曲はイージーリスニング風で好みではありませんでしたが、途中の劇犯は『アンタッチャブル』の前身っぽかったり、他作品でも多用されている“エリーゼのために”をモチーフにした曲なんかもあってちょっとだけ楽しめました。

ところで英語タイトルは“Revolver”(リボルバー)なんですが、リードはずっとリボルバーではなくワルサーP38を使っていたような・・・何か別の意味があるんでしょうかね?
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