彦次郎

スティングの彦次郎のレビュー・感想・評価

スティング(1973年製作の映画)
4.5
1930年代シカゴ。詐欺師のフッカーが伝説の詐欺師ゴンドーフと組んで仲間の敵討ちのため大掛かりの詐欺を仕掛けるクライム映画。1973年度のアカデミー賞授賞式作品賞・監督賞など6部門を受賞ということで世間的にも名作。
好きな作品ですがネタバレすると興を削ぐため詳述は避けさせていただきます。
タイトルの『スティング』は俗語で「ぼったくり」という意味らしいですが内容の方は視聴者に対する「ぼったくり」は一切ない上質なエンターテインメント。様々な騙しあいとなると陰鬱になりそうですが観終わった後で気持ちがスカッとする痛快な作品です。
冗長になりがち話を第一章/仕掛人、第二章/仕掛け、第三章/釣り針、第四章/筋書き、第五章/有線、第六章/締め出し、最終章/本番と分けることで最後まで飽きないように構成しているのですが、冒頭からフッカーのキャラクターが紹介されるとともに本筋につながっていくのは脚本の巧みさといえましょう。
話の面白さが注目されますがキャラクターもまた良かったです。主演のポール・ニューマン(ゴンドーフ)とロバート・レッドフォード(フッカー)がカッコよくて最高なのは言うに及ばずですが仇相手ロネガンも残虐かつ用心深く更にさりげなく罠を放つギャングでボス悪党としては申し分なしと、登場人物たちが脇に至るまで味わい深いです。個人的には巨漢で暴力的(ビールかけも含む)かつ金にがめついスナイダー警部補が印象的でこういう日常的にいそうな嫌な奴がいるのがけっこう好きでした。
忘れてならないのが上品かつご機嫌な曲『エンターテイナー』。極めて印象に残りますがこれはスコット・ジョプリンの『ジ・エンターテイナー』を編曲したものでもはや名曲といっても差し支えないでしょう。この曲により本作が更に底上げされたことは間違いないと思います。
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