【絵空事、神話、美しい嘘】
たった96分でここまで密度の高いドラマを凝縮させるとは…。ある意味驚異的。
テレンス・マリック監督の自閉的な作風に苦手意識を持つ人は多いと思うのだが、私は好きである。
アメリカのタルコフスキー、或いはヴィクトル・エリセと言ってもよいでしょう。どちらかと言えば岩波ホールでかかるタイプのアメリカ映画。
はっきり言ってリチャード・ギア演じる狡猾な兄よりもサム・シェパード演じる地主さんの方がよっぽどまともな人間に見えてくる。本来、悪役はシェパードなのに。主人公、殺されて当然だよ!
ラストが「?」みたいなまま、放り投げたように終わるんだけどこれはこれで潔くて良いと思う。天才カメラマン、ネストール・アルメンドロスの素晴らしい映像美をじっくり堪能できる壮大なる農民一代記。
またサンサーンスとエンニオ・モリコーネによるスコア(一部レオ・コッケも参加)も哀愁があり泣かせます。サントラ欲しくなる出来栄え。