このレビューはネタバレを含みます
主人公ウィリーはハンガリー名前からの改名で、ニューヨーカーであることをやたらと主張する。要はかぶれ野郎。アメリカには何かあるはずと漠然と思っていそうだ。
でも見つからない。真っ先に向かうのはハンガリー語が抜けない叔母のもとだし、フロリダに行っても惰性のギャンブル三昧。
なんやかんやあって故郷のブタペストに意図せず戻ってしまうストーリーに、意外にも「地に足つけろよ」的なメッセージを感じた。いや、ジム・ジャームッシュ作品を解釈するのも野暮なんですけどね。
アメリカン・ニューシネマは70年代で終焉するが、「アメリカって別にパラダイスじゃございませんよ」っていう部分では今作はその地続きなのかも。そして「パラダイスって結局は日常じゃん」がエヴァの選択であり、『パターソン』なのかと。
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序盤、競馬の投票候補として出てくる馬の名前が小津作品ばかり。敬意をこんな風に表現するなんてほんとにおしゃれだなあ、まったく。
結局、ウィリーはTokyo Storyに賭けることにする。パラダイスは尾道だったりブタペストだったりってことですかね。