てつこてつ

情愛中毒のてつこてつのレビュー・感想・評価

情愛中毒(2014年製作の映画)
3.0
いくら当人同士にとっては狂おしいほどの純愛であっても、所詮は自分勝手なW不倫な訳であって・・。

でも、テーマがテーマなだけに、そんな事にケチを付ける気はサラサラなく、むしろ、ソン・スンホン演じる主人公のベトナム戦争の激戦地でのトラウマからの精神の不安定さが、原題の'OBSESSED'に近いような盲目的な愛に向かわせる設定とか上手く考えられているなあと感心した。

1969年当時の、これぞアジアンテイストといった感じのインテリア、照明、女性陣のファッションとか拘りを感じるし撮影手法も非常に丁寧で、ピクニックシーンなど、どこか桃源郷のような雰囲気で映像が美しい。

何と言っても、ソン・スンホンとイム・ジヨンが実に画面映えがする美男美女。

R-18指定となった二人の濃厚なベッドシーンでは、とにかく二人の身体が芸術的に美しいのでイヤらしさが全く感じられず、言い方はおかしいかもしれないが、健全なエロスに満ち満ちていて見応え有り。

特にソン・スンホンの鍛え上げられた軍服姿の下に隠された筋肉美はちょっと驚く程で、普通、日本人がジムで一生懸命鍛えたところで、フィジカーのような体型になりがちなところ、’筋骨逞しい’といった表現にピッタリな全体的に厚みがある実に見事な肉体に仕上げられており、同じアジア人でも、やはり大陸と繋がった朝鮮民族と日本人とでは遺伝子構造にそもそも違いがあるのであろうなあと実感させられた次第。

ストーリー的にも終盤までは、まあまあ良い流れだったのに、何故に、あのパーティーシーンで、冷静沈着で慎重な主人公に唐突にあのような行動を取らせる設定にしたのか?あの展開だけは、ちょっと違和感有り有り。

「パラサイト」のIT社長妻役のチョ・ヨジョン・・この作品では本来彼女が持つ美貌や色気をあえて隠す為に眼鏡をかけるキャラクターにしてるけど、ちょっと、コスプレ感が否めないのも最後まで気になったかな。

でも、ソン・スンホンという韓国俳優の中でもずば抜けたルックスを持ちながらも、なかなか主演映画作品には恵まれなかった彼の演技の幅の広げた意味は大きかったかもしれない。この後に出演した「ミセス・ワイフ」では、さらに絶妙な味わいで巧さが増している。
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