タリア・ラヴィ監督の長編デビュー作。イスラエルのアカデミー賞であるオフィール賞では監督賞など6部門で受賞した。

今イスラエル映画を観るのはちょっとイヤだったが、JAIHOでの配信が残り少ないし…ということで鑑賞。結果的には当たり。息つく間もないジェットコースターみたいなコメディでよかった。この高い評価も当然という長編デビュー作とは思えないクオリティの高さにびっくり。

戦場が舞台ならではの緊張感もしっかりあるし、兵役に就いた女性たちのタイトル通り「ゼロ・モチベーション」なテンションも面白い。脱力感と緊張感を同時に描くという何気に凄いことをしている。

3章に分かれていて、中だるみせずどの章も同じテンションで仕上げた監督は大したもの。大声出して、というよりはクスッと笑えるオフビートなコメディ感が堪らない。

演者さんたちも絶妙なコメディ演技をみせている。どの役者さんもよかった。

タリア・ラヴィ監督はこれ以降映画とテレビを一本ずつ手掛けているようだが日本ではあまり知られていない。今の社会情勢的に厳しいとは思うが、かなり腕のある監督だと思うのでいつか本作以外の監督作品を観てみたい。それくらい求心力のある映画作家だと思う。すごくよかった。

特徴＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿

兵役中女性兵士達の仕事のやる気のなさを見たら、社畜してるのがバカみたいに思えてくる映画
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まさに、ゼロモチベーション。

『運命は踊る』が軍隊物のルーズでアート的な
素敵作品だったので
同じ感じを期待していたらルーズさはそれ以上でした。
まじで、マインスイーパーか嫌がらせしかしてない！

しかし３部に分けられ、
それぞれにちゃんと抑揚のある展開があって観ていて全然退屈しなかったです！
面白かった！

砂っぽさのある地獄みたいな基地から逃げ出したい“ダフィ”。

その親友でバージンを脱却したい、
本作１番のワルガキ“ゾアール”。

ゾアールに手を焼く指揮官“ラマ”。

がそれぞれ頑張ったり頑張らなかったり…笑
基本的に戦時中とは思えない緊張感のなさ。

彼女達にはイライラもするけど、
仕事へのやる気があり余っている人・仕事頑張りすぎて心が一杯一杯になってしまている人にこそ！ぜひオススメしたい作品ですね！
こんなでも人間何とかやっていけますよ。
仕事でしくじっても死にゃーしません。笑

程よく空気抜いて、頑張っていきましょー😂

イスラエルの軍事基地に勤務する女子兵士たちの日常、そしてちょっとしたシスターフッド。
兵士といっても彼女たちはアシスタント系の事務職で、職務内容はいわゆる派遣のオフィスワークと変わりなく見える。お茶汲み、紙仕事、掃除、お茶汲み、紙仕事、掃除。ただ、傍に銃と砂漠があるだけだ。

だから、毎日の悩みもごくありふれている。都会の拠点への転勤に憧れ、とっとと処女を捨てたいと画策し、意識高い御局上司に辟易する。
しかし、ありふれているからこそ真剣だ。そこには確かに想像できる退屈や葛藤、つまり体温があって、場所も立場も遠い彼女たちが近しい誰かのように感じられる。

以前、この日本にも『南極料理人』なんて映画があったことを思い出す。南極基地での暮らしを可愛らしく描いた作品だけれど、孤立した極限環境と思われる場所にも繰り返しから生まれる日常があることに気付かせてくれるものとして共通点がある。

もちろん、今作のもつユーモアはもっと黒いし（PCゲームのマインスイーパ＝地雷除去の世界記録に挑戦してるとか）、時折顔を出す背景はやはり深刻といわざるを得ない。
戦争ですら、何十年いや何世紀も常態化しているようなこの地域にとっては惰性で続けるルーティーンワークのようなものだ、みたいな風刺的な解釈もできるだろう。（この手のお仕事は、実は誰かひとりが最初に止めるだけでなくなるものだったりする）

でも、やはりこのような作品のもつ存在意義、あるいは効能には侮れないものがあると思う。なぜなら、大きなものから小さなものまで、多くの争いは他者を《異物》と見なすことから始まるからだ。

遥か向こうにいる彼女たちも同じような日々を生きていること、もちろんそれだけで何でも解決できるなんてお花畑脳では（残念ながら）ないけれど、ずっと変わることのない一歩目であることは確かだと信じている。

• #ねこだ！
• #他者の壁