あつぼう

グッド・シェパードのあつぼうのレビュー・感想・評価

グッド・シェパード(2006年製作の映画)
3.5
「ブロンクス物語/愛につつまれた街」以来13年ぶりにメガホンを執ったロバート・デ・ニーロ監督2作目となる人間ドラマ。

これはまずキャスティングが面白いですよ。
ボーンシリーズで元CIA諜報員ジェイソン・ボーンを演じたマット・デイモンと【Mr.&Mrs. スミス】で殺し屋を演じたアンジェリーナ・ジョリーが夫婦役なんです。さんざん派手に暴れまくってた2人ですが、この映画では渋すぎる演技をしてました。本当のスパイってこの映画のように目立たずに淡々と仕事をこなすんでしょうね。
物語も淡々と進んでいくので退屈と感じる人もいてるやろうけど、168分という長丁場を睡魔に襲われずに観れたのはデ・ニーロの演出力と素晴らしいキャスティングのおかげでしょう。
どうしても主人公のエドワードを中心に物語が展開していくので劇的な展開はないのですが、逆にそのシンプルさがこの映画を渋い映画にしたと思います。

この映画は一度観ただけでは理解出来ないぐらい物語が複雑に絡み合ってます。特に時間軸の交差が多すぎて、いつの時代の話か分からなくなった時がありました。マット・デイモンの老けメイクがイマイチで若い頃とそれほど変化がなかったのも原因なんですけどね。

裏切られ、誰も信じれなくなり、裏事情を知りすぎると消されるってCIAって組織は本当に怖いです。実際にCIAが何をしてるのか知らないけど、絶対に関わりたくないって思いました。いつ誰が裏切り消されるのかっていう緊張感がずっと漂ってましたよ。

ド派手なスパイ映画もいいけど、本当のスパイってこの映画みたいに陰の人やと思います。観るほどに味の出てくる映画なんで、何回か観たいって思うけど、この上映時間だけにそう何回も観れないですよね(笑)。
何度か観たら時間軸も理解出来て絶対に面白いと思うけど・・・・。
久しぶりに正統派の映画を観た気にさせてくれました。
あつぼう

あつぼう