イルーナ

三人の騎士のイルーナのレビュー・感想・評価

三人の騎士(1944年製作の映画)
3.4
『ラテン・アメリカの旅』の続編にあたる本作。
南米のみだった前作からスケールアップし、南極、メキシコと舞台を広げています。

ドナルドの誕生日に、届いたプレゼントから物語が展開される。
最初のプレゼントは映写機。そこで上映されたのは……

・さむがりやのペンギン パブロ

南極に生息するペンギンの中で唯一寒がりだったパブロは、あの手この手で南極脱出を目指す。
家の周囲を切り取って船にするというアイデアを発見してからは割と順調に旅を続けていたのですが、場所が場所だけについに家が溶けだし……
最終到達点がガラパゴスだったことを考えると、コイツはガラパゴスペンギンの先祖だったのか?
あと、旅立ちに失敗するたびに見送りが減っていったけど、最後まで残ってくれた奴は大切にした方がいいぞ。

・空飛ぶロバ
ペガサスならぬ翼のあるロバを捕らえたガウチートは、飛行能力を隠してレースで一攫千金を狙う。
前作からガウチョのエピソードが再登場ですが、本作のガウチートとロバはマスコット的な愛らしさ。
しかしオチは結局イカサマがバレて行方不明になった……という、何とも微妙なもの。

この合間にジャングルに生息する鳥が紹介されるのですが、見事にマニアックなものばかり。
ヒロハシサギ、ハサミオタイランチョウ、カマドドリなど、鳥好きにはたまらない!
特にカマドドリは名前の由来も語られていてニッコリ。主役3羽といい、スタッフの中に相当な鳥好きがいたと見える。

次のプレゼントは飛び出す絵本。そこでホセ・キャリオカやパンチートが登場するのですが……
ここから実写を交えたミュージカルというかMVみたいな内容に。
正直作ってる途中で路線変更したのか?というくらいに前半から毛色がガラッと変わってます。
しかしこのミュージカルパートが長い上に、どれもドナルドが美女をひっかけようとする展開ばかりだから、ストーリー部分が急激に失速。
他の古典作品と比べてマイナーな理由がよく分かった。ストーリー部分が中盤以降ないに等しいばかりか、ぶっちゃけつまらんのよ……実写とアニメの合成に全振りしたのか?
道理で子供の時に観たはずなのに、内容を全然覚えてなかったわけだ。
せっかくホセとパンチートは魅力的なキャラなんだから、ただ町を紹介するだけでなくもっと冒険してほしかったです。

それでも、元のサイズに戻ろうとするドナルドのくだりやラストは、『ダンボ』のピンクの象ばりにサイケデリックな演出で気を吐いた感じがありました。
ドナルドムラムラしすぎやて!
イルーナ

イルーナ