金宮さん

幼な子われらに生まれの金宮さんのレビュー・感想・評価

幼な子われらに生まれ(2017年製作の映画)
3.5
現実的におこりうる、なかなか複雑な親子関係を追体験し、大人の未熟さを反面教師とする。

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子持ちどうしで再婚した浅野忠信さん(家庭優先めっちゃいいパパ)田中麗奈さん(天真爛漫ママ)夫婦が子どもを授かったことから、長女の複雑な心境など潜在していた歪みが表出しはじめる。

そんななか浅野忠信さんは自暴自棄になったり、田中麗奈さんは長女に対して対等すぎる対応で幼さをみせたり、少し未熟な面が出てくる。

ただその対比として出てくる双方の元パートナーがどちらも一線を越えすぎているのよ。一般的には元夫の方が悪目立ちするが、キャリア先行で独断堕胎する元妻のおぞましさがもう。後悔したことをたらたら羅列するなかに「助教授になったことがー、アメリカに行ったことがー」とか懲りずに言ってるのが悪い意味ですごい。キャリアを優先する考えかたは尊重されるべきなので、そういった女性の印象が悪くならないかだけ心配。

相手を慮らずにべらべらと自分の思想をしゃべっても、音が鳴ってるだけで空虚にひびく。(序盤、バーのシーンで悦にひたって父親論を語る課長もうっさかった)
一方で浅野忠信さんも田中麗奈さんもアプローチはちがえど、とにかく子どもやパートナーといった他者を受け入れようともがく。そうありたい。

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・子どもたちはみんなとってもいい子。反発する薫も、ああ見えてとっても素直に気持ちを表明してくれてありがたい。親としてはそう思い続けられるようにと自戒。

・この親戚ともいえない複雑な関係を「お友達」と表現するシーンがなんどかあり、それ好きですってなった。交友関係のはじまりなんて曖昧なんだから、こんなお友達もありですよね。「そして父になる」でも思いましたが、もし自分が似た境遇になってもそう考えます。

・妖しい浅野忠信さん、しっかりもの田中麗奈さんがいつものイメージでした。今作では割と真逆なキャラなんですが、そんななかでも一瞬だけいつもの表情を見せてくれます。その二面性が劇中における夫婦のキャラクターを肉厚にしており、熟練の名演技を拝見した感じ。

・わざと下手に歌う浅野さん、珍しくシャウトする田中さんのエレカシも聴けます。
金宮さん

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