なんて狂おしくてロマンティックな映画なんだろう。本当に静かで淡々とした作品なのに終始、心臓がバクバクでした。
10人が観て全員が最高と言うタイプの映画ではないですが、誰か１人の心の１本になるようなそんな作品。個人的には心の奥底にしまっておきたい大切な映画になりました。
監督がウォン・カーワイ映画を観て育ったと公言している通りウォン・カーワイからの影響が絶大。至るところのシーン、カット、演出など『ブエノスアイレス』からの影響は一目瞭然。
正直、これがアカデミー賞作品賞？(良い意味で)ってくらい『ララランド』なんかに比べると断然、派手さはなく静かな映画。なんなら逆にアカデミー賞作品賞にはもったいないと思うくらい。
助演男優賞を受賞したマハーシャラアリはじめ俳優陣はホントに演技が恐ろしいほどに自然で素晴らしい。特に三つのエピローグで１人で歳を重ねる演技をするナオミハリスは圧巻でした。
主人公シャロンとケヴィンの目線や表情だけのやりとりにもグッとくるし、おい早く言っちゃえよ～みたいな観ていてムズムズキュンキュンする最高のムズキュン映画でもある。
映像も本当に吸い込まれるような美しさで、時折挟み込まれるヒップホップ、R＆Bソングのセンスも抜群。
低予算ながらとても丁寧に作られた上質な映画。
