老境の名優ロバート・レッドフォードの演技に対し、チャーミングというのもギャップがあるかもしれないけど、一言で感想を聞かれたらそれに尽きると思った。
実在の紳士強盗のキャラや行動を多少は美化したり、脚色したりしていると推測するが、それでも彼のキャラには独特の映画的魅力がある。
それは明るさと無邪気さとゲーム感覚で強盗を楽しむ姿だ。
デビット・ローリーの演出もうまい。なんてことはない地味な話であるのに、最後までストーリーへの関心が醒めることはない。
おそらく20代でこの映画を見たら、きっと早送りするか途中離脱したくなるだろう。派手な銃撃戦もないし、銀行強盗のやり方は拍子抜けするほど淡白だし、警察との頭脳戦があるわけでもない。
マイケル・ベイ作品『アンビュランス』の対極ともいえる。
笑いながら強盗を楽しむ彼の姿に興味を惹かれ、「うまく逃げれるのか?」と心配してしまう。完全に監督とレッドフォードにからめとられているのだ。
Jazzの音楽がよかった。場面にあわせてビートを上げたり、緩めたり。このセンスがまた紳士強盗をおしゃれに見せている。
映画を見ている間は、1980年代にトリップできる。
不思議な魅力を持つ映画だった。