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11×14のsonozyのレビュー・感想・評価

11×14(1977年製作の映画)
4.0
現在80歳前後のアメリカの実験映画作家James Benningの初長編作。
タイトルは印画紙のサイズ11x14インチ(日本では大四切と呼ばれるB4に近いサイズ)とのこと。
タイトルが内容とどう関係あるのかは分かりませんが、ほぼフィックス&移動中の車内/列車内の固定カメラで捉えた風景/人物の約60のクリップで構成された作品です。

彼が生まれ育った生まれミルウォーキーやシカゴの町やその郊外の、道路、高架鉄道、ハイウェイ、家並み、GS、ストア、ロードサイドのビルボード、モーテル、農場、大型トラック、ゴルフ場、ヒッチハイクする男、口紅をぬる男、ある一家の風景、マウントラシュモアの観光客、ヒッチハイクする男、口紅を塗る倒錯?男子…

数秒のシーンから、かなりの長回しまでありますが、各クリップがブツッと切れて黒みになるので、次はどんなシーンなのかと楽しめます。

長回しで特に印象的なのは、何駅も通過して高架を走り続ける列車、ベッドでゆっくりと触れ合うレズビアンな2人、ボブ・ディランのBlack Diamond Bay♫をバックに大量の白煙を吐き続ける煙突を捉えたクリップなど。

会話も音楽も一部に出てくる程度でほぼ環境音のみですが、冒頭のこのショットのおじさんなど、何度も出てくる人もいたり、その人物の背景ストーリーをなんとなく想像してみたりする楽しみも。
動く写真集のような感覚で楽しめました。
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