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アサルト13 要塞警察のとりのレビュー・感想・評価

アサルト13 要塞警察(2005年製作の映画)
4.1
特殊部隊が出てくるB級アクション映画大好き。
そんな期待にこたえるかのような、小気味良い映画でした。
ジョン・カーペンターの「要塞警察」のリメイクですが、全体的にやすい⋯安っぽいじゃなくまさに「やすっ!」っていう空気がそこかしこに(笑)セットも登場人物も作品の空気も見事にB級。なんかテレビ映画を観てるような感覚。
登場人物が安っぽいというのは、脇役陣の顔ぶれ。けっこうちょこちょこ色んな作品で見かけるメンバーがそろっててニヤリ。

オープニングのエピソードがB級アクションとはかけ離れた出来映えでちょっと面食らってしまいました。イーサン・ホークがチンピラって意外と似合ってたけど。あのままの路線で最後まで行ってたら大ヒットサスペンス映画になっててもおかしくないってくらい出来が良かった。
そこから8ヶ月後の出来事として本編がスタートするけど、しばらくの間はやや退屈。派手な銃撃戦をいまかいまかと待ち焦がれる。
そこでモーフィアス、じゃなくてローレンス・フィッシュバーン登場。なんかそこにいるだけで凄まじい存在感です。寡黙で眼光鋭い静かな凄味が。この人が出てきたあたりから徐々にエンジンがかかってきて後はもうグイグイ引きこまれました。面白かった。なんかもうずっとニヤニヤしっぱなし。

敵味方どちらも死に際が容赦なくドンドン死んでしまうんですが、登場人物がみんな味があって強烈な個性を発揮してるのも手伝って、かえって小気味良かったり。意外な人があっさり死んでしまうところもあるし、ありきたりなB級アクションの中でも一歩抜きん出た感じ。
この意外な人が死んで雪の中に倒れこんでるシーンで、一瞬口から白い息が出てたような気がするんですが気のせい?みんなわりと薄着で頑張ってたけど豪雪地帯での撮影はさぞ大変だったでしょうね。

戦闘シーンは全体を通してなかなかのもの。目が離せないほどかっこ良かったり、細かいディテールにこだわってる様がうかがえたり、観客のニーズを見事に理解してるなぁって感じです。
特殊部隊の装備も色々使ってくれてて見てるだけで楽しい。赤いレーザーの交差するところも良かったし、暗視スコープをさくっと装着するといった細かい動作までおさめてたり、ヘリで着陸するシーンでは頭上から降ってくる様子がまぶしかったり、非常に力の入れ所をわかってるな、と。
大盾軍団がドドーっと押し寄せてきたと思ったらするすると撤退していくシーンがめちゃくちゃ面白かったぁ!

仲間割れシーンではお互いに銃口を向け合うところが面白かった。ありきたりで展開も読めるんですが、かなり上手く処理されてると思います。それぞれが銃口を向ける方向が微妙に違ってたりとか。結構丁寧な作り。
仲間割れについては特に上手いなぁと思ったのが、身内に裏切り者がいるんじゃないかっていう疑惑の部分。登場人物が疑ってる時、観てる側も同じように疑ってたり、そうかと思うと次の疑惑人物が浮上してさっきまで疑ってた意識が巧みにそらされてしまったり。

難を言えば敵の事情が見えすぎというか出すぎなので、不気味な恐さが減ってる点。逆に言うと敵の正体がバレバレな分、どの程度の戦力か想像しやすく、考えようによってはまぁ絶望的な気分にもなれるってところかなぁ。結局、敵の戦力は期待してたより低かったんですけどね…。
主人公が過去の過ちに悩んでるわりには成長がなかった点もうやむやのまま、どうもテーマがすり変わった状態で爽やかに終わったところが強引で、妙におかしかった(笑)
あとエンドロール曲がやたらうるさかった。

日比谷みゆき座(閉館)
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