短評
アマプラにて配信されていた園子温監督によるオリジナルTVシリーズ『東京ヴァンパイアホテル』。全9話て構成された本作を、140分に集約させた総集編。
家賃三部作の頃(2009~2012年)が全盛期だったことを考えると、園監督は完全に燃え尽きてしまった印象。配信という作家性が遺憾なく発揮できる媒体での作品なので、勿論地上波ではコンプライアンス的にも放送できないレベルのエグい作品ではある。持ち前の美術センス、色彩感覚、ポップな世界観、エログロ要素満載と宗教観まで、まさに園ワールドに溢れた作品ではある。
ただ、そのどれもが薄っぺらい。ヴァンパイアホテルの内装はプレバトの待合室が延々に続いている感覚だし、エログロはどちらも中途半端。明らかに妥協しているように思える。
肝心のストーリーもオチをぶん投げてしまう有り様で、ラストパートは園子温が監督していなかったとのこと。しかし演出云々より先に、脚本に問題があるように思う。
かつて園子温というネームバリューだけで映画館に足を運んでいた時期があったものの、革新的かつ挑発的な作品を出し尽くしてしまったように思う。まだ園監督健在かどうかは今年公開の『プリズナーズ・オブ・ゴーストランド』『エッシャー通りの赤いポスト』にかかっているだろう。