金宮さん

1987、ある闘いの真実の金宮さんのレビュー・感想・評価

1987、ある闘いの真実(2017年製作の映画)
4.5
凄まじくハイクオリティに韓国民主化の史実を多角的に描く。この濃密さは2時間とは思えない大傑作。

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史実だとわかっているので不謹慎とは思いながら、映画がすすむにつれて高揚していく気持ちをおさえられない。個人的に史実系社会派ドラマの最高峰は「クライマーズ・ハイ(映画)」なんですが、同じくらい釘付けになりました。

まるで5,6人主人公がいるんじゃないか?と思うほど個々のキャラがたっている。それもそのはず。ひとりひとりが物理的に団結しているわけではないが、集団の力でひとつの目的に向かった史実を描いているのだから。

これを見て「今の日本って平和ボケだよなー」と悲観する必要はないと思う。民主主義が保たれていることは素晴らしいことなのだから。忘れちゃいけないのは、同じことを繰り返さない歴史的教訓。あとは、個が集まって社会が成立し決定がなされているのだと認識する。自分自身を埋没させない、あきらめないというメッセージ。

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・反民主化のイデオロギーに反共が使われているのがもう矛盾だらけっていうか。でもパク所長個人のみの問題でも、彼が絶対悪というわけでもないですよね。構造の問題は奥深くみると東西冷戦までいくので、「韓国の昔ってひどい!」で終わらずそこまで深掘りする必要がある。

・メディアに攻撃力が保たれていてよかったな、と思う描写が多かった。「タクシー運転手」は外国メディアからという点がポイントだったので、実際どうだったのか調べてみようと思いました。

・チェ検事かっこよかったですねえ。みんなそうですよね?社会派ドラマの中では、これまでの作品いれても結構上位ランカーかもしれない。
金宮さん

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