一人旅

タッチ・ミー・ノット~ローラと秘密のカウンセリング~の一人旅のレビュー・感想・評価

3.0
第68回ベルリン国際映画祭金熊賞。
アディナ・ピンティリエ監督作。

ルーマニアの女性監督:アディナ・ピンティリエの長編監督デビュー作で、マイノリティの人々の性と本音を赤裸々に浮かび上がらせた異色のドラマ映画です。

寝たきりの父親の介護で通院する日々を送っている中年女性ローラをヒロインにして、人に触れられることに強い拒否反応を示す精神的障害を持つヒロインが病院で患者同士のカウンセリングを目撃したことを発端に、彼らとの関わりを通じて心境に変化が訪れていくまでの過程を描いた実験的な“カウンセリング映画”です。

実際のトランスジェンダーや多くの障害者を起用したドキュメンタリー的な作風が特色で、彼らマイノリティたちの心の深層が彼ら自身の口から赤裸々に語られていきます。障害を含めた自分の人生を肯定的に受け容れ、自由に、欲望の赴くままに生きる彼らマイノリティたちの不屈の生き様と、彼らに感化されるヒロインの鬱屈した魂の解放を、白を基調とした清らかな映像の中に描いた“人生賛歌”ですが、ストーリーのとっつきにくさ&抑揚の無さが映画玄人向けの作品となっています。
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