金宮さん

アイネクライネナハトムジークの金宮さんのネタバレレビュー・内容・結末

4.0

このレビューはネタバレを含みます

登場人物の行動が生む、偶然ではない繋がりがハッピーを連鎖させる幸せ群像劇。

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ごく自然に連想ゲーム的に場面が接続する感じがとても心地よいというか、委ねて観られる安心感があります。


"「劇的な出会いなんてないんだよ」という矢本さんの台詞→部屋に出たGのおかげの貫地谷さん、街頭アンケートで出会う三浦さん多部さん→(私)これは劇的なものになるのかしら?と考える。"


"ボクシングの結果次第での告白に「他力本願だよ」と怒る貫地谷さん→ そもそもMEGUMIさんのお節介でつながった貫地谷さん、三浦さんも多部さんもストリートミュージシャンやアンケートのおかげ→(私)そもそも自力ってどこから?と疑問になる。"


こんな感じで、ひねらずともゆるやかーに頭が働きます。

んでもって感じたのは「運命的じゃなくても劇的じゃなくても出会いって充分素敵だよ」という等身大の素晴らしさ。言葉で書くとチープな歌詞のようですが、あらゆる角度で沁み渡らせてくれるのです。

今作でうまれる繋がりは偶然というより、皆さんの行動によるものが多い。工事現場で見かけても声をかけたのは三浦さんの勇気ですよね。ウィンストン小野に対しての特別な思いとそれが生む家族の絆ができたのは原田泰造さんがオークションでチケット取ったから。偶然の力はもちろんありますが、今ある良き人間関係を作ったのはあなたなんだよっていう肯定です。

そして所謂ドラマチックはところどころ失敗します。夜景のみえるウェスティン仙台ではプロポーズできない(「あんなところでやられると迷惑だ」という三浦さんのきづかい素敵)、指輪パカっも角度間違えました。ウィンストン小野も返り咲けませんでしたね。でも矢本さんも明言しているとおり大事なのはシチュエーションじゃない。プロポーズOKもらう場面も肉じゃがと焼き魚のいつもの晩御飯中。でもその平凡なメニューを準備するのが意外と大変で、これがみんな大好きなんですよ。

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・誰かの台詞のあと、それを連想するまた別の誰かにシーンが続く連想ゲーム的な演出は「窓辺にて」のそれと似たものを感じました。説明過多にならず、鑑賞者にも優しいとても素晴らしい演出でありがたいです。

・森絵梨佳さんの夫評「当たりかハズレかでいったら間違いなく当たりの方だよ」等身大の幸せ、そしてそれがナイス判断であることを端的に表現する台詞。私もこんな風に言われることを目指します。あくまで自然体で。

・そんな夫を演じる矢本さん。口癖の「まあな」でもうわかります。素敵です。「君の膵臓をたべたい」だったり「ちはやふる」だったり、いつも主人公に寄り添う。映画はまだ未見ですが、ゴールデンカムイで憎めないバディキャラの本領を発揮していることでしょう。より楽しみになりました。
金宮さん

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