金宮さん

斬、の金宮さんのネタバレレビュー・内容・結末

斬、(2018年製作の映画)
3.5

このレビューはネタバレを含みます

有名どころでいうとるろうに剣心やファブルで描かれる「不殺」ではなく、達人なのに「斬れない、殺せない」都築。このキャラ造形が時代劇においては非常に珍しいのだが、よくよく考えればそういう人がいるのも当たり前で、全員がナチュラルに人を斬れるのはおかしい。

おそらく塚本監督が伝えたかったこともそこにあり、殺すことが当たり前=戦争状態への注意喚起かと。

幕末という、近代日本の礎となった革命期なので潜在的に暴力を肯定してしまいがち。その時代設定でこれをやったこと自体に意義がある。

澤村は都築を斬ろうとするが、その動機は強者である都築を斬ることで自分を確かめるため。描き方によっては「そうだよねーかっけー」な理由になってしまうかもしれない。でも今作はそこまでの文脈で「なんだこいつー!?」と思わせることに成功しており、主題との対比要因となっている。

ラスト、都築は結局自衛で斬っちゃう。不条理で終える選択に監督のそこはかとない怒りを感じる。

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・塚本さんが演じてる姿は庵野作品で見てばかりだったので気づいていませんでしたが、実際見てみると確かに剣の達人感がハンパじゃないです。
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