李

ある画家の数奇な運命の李のレビュー・感想・評価

ある画家の数奇な運命(2018年製作の映画)
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「写真は偶然の産物では?」
「偶然ではなく現実は真実と一致する。
真実はすべて美しい。」

ドイツ史の闇とその中で微かに光を灯す芸術や愛や人生の美しさ。フィクションかと思っていたけど、リヒターの半生の物語らしい。たしかに絵とは思えないほど写真に近い作品が展示されていたなと2年前に友人と行ったリヒター展を思い出し、カメラロールを遡ったりした。行って良かった。OPの退廃芸術展にてカンディンスキーの作品が登場しそこからの芸術の潮流と、併せてドイツの歴史が学べる。私自身歴史が苦手なこともあり、流派や芸術運動の多さに困っているため、映像で飲み込ませてもらえるのは有難い。もっと色んな画家さんの映画を製作してほしい次第です… 監督は、「アートというものは苦しみに目的を与える」(自分が苦しんできたことがアートになり、それがその苦しみに目的を与える)ということを映画にしたいと思っていた」とのこと。アートへの賛歌はもちろんのこと、原体験こそ美しき財産であるという優しい人生賛歌にも感じた。あとはシンプルに映像と劇伴が美しく、映画として良い作品だと思う。2人が体を重ねるシーンとサントラ1曲目のthe mind's eyeが好き。S3だけ未鑑賞DARKのウルリッヒもいた!個人的な話ですが、今年は趣味の一環で美術検定4級と3級の合格を目標にしているため、勉強と共に良い刺激にもなった〜

自分用メモ
・退廃芸術: ナチスが、近代美術や前衛芸術を道徳的・人種的に堕落したもので、ドイツの社会や民族感情を害するものであるとして禁止するために打ち出した芸術観
・社会主義リアリズム: ソ連で発展した理想化された写実的な芸術。1932~88年までの間、ソ連と第二次世界大戦後の他の社会主義国でこの芸術様式が採用。
・劇中に登場するエリーを描いた作品は「エマ(階段のヌード)」(1966)がモチーフ。
李