彦次郎

恐怖の報酬 オリジナル完全版の彦次郎のレビュー・感想・評価

4.0
脛に傷を持つ男4人が南アメリカの油田に300キロ離れた村からニトログリセリンを積んで運搬するサスペンス。イヴ・モンタン主演の同名作品のリメイクです。
オリジナルのほうも前段階が長かったですが今作も同様。ただし4人の男たちの事情が分かるようになっております。銀行強盗で敵対ギャングから逃走するドミンゲス、不正取引での穴埋めに失敗した投資家セラーノ、銀行爆破あとに警察から逃走したテロリストマルティネス、ナチスの残党を殺した後に追われる殺し屋ニーロと全員が悪党。道のないような荒れ地やジャングルを進むというミッション自体が狂気のため追い詰められた者しかできるはずもなく人選的には間違っておりません。
出発前から運転手が変わるのはオリジナル同様ですが退場の仕方が殺害だったりする辺り、不穏さと殺伐さが際立ちます。今作では道中の危険が増したことで緊張感が尋常ではありません。特にジャケットにある暴風吹きさらすなかで吊り橋を渡ろうとするシーンはサスペンスの極限ともいうべき迫力でした。
緊張が緩和された後での呆気ない死に様など原点の大事な部分を残しつつもサスペンス面でブラッシュアップされた傑作だと思います。なお当時の公開版は監督の意向を無視して大幅に時間を削ったモノになっているそうです。
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