すずき

映画 すみっコぐらし とびだす絵本とひみつのコのすずきのレビュー・感想・評価

3.3
すみっこにいるのが大好きな、「すみっコ」達が暮らす世界。
ある日、すみっコ達は地下室にあった古ぼけた絵本を見つける。
それは世界のお話をモチーフにした飛び出す絵本。
その絵本の不思議な力によって、すみっコ達は吸い込まれて絵本の中へ。
すみっコ達は、絵本の世界で「ひよこ」という迷子の子と出会う。
自分のいるべきお話が分からないひよこに、すみっコ達はあるべき居場所を探すのだが…

人気キャラクター「すみっコ」の初の映画化。
国内オリジナルファンシーグッズ業界としては、サンリオに続いてNo.2?のサンエックスのキャラクターです。
それ以外の情報はほとんど知らないんだけど、本作の監督が、私の好きなアニメの劇場版を手掛ける事が判明。
さて監督の力量はどんなもんや?と鑑賞に至る。

子供向けの映画として凄く丁寧な作りでした。
初めての映画、となるお子様も少なくないと思われるが、そんな彼らでも問題なくお話を楽しめるよう、ナレーションによって状況説明やツッコミがされる。
映像表現では、場所や時間、視点が変わる場合、カット割を駆使して表す。
私たちはそれが当たり前に理解出来るのだけれど、初めて映画を見た子供達には、そのルールが分からないかもしれない。
その「初めての人はどう思うか、どこでつまづくか」という視点をしっかり持っているのは素晴らしい!
(ちょっとだけ脱線)私はゲームも趣味なんだけど、やはりゲーム製作者はマニアになりやすいのか、「ゲームの文法」を知っている事を前提の造りである事が多い。
初心者への入口となる作品を疎かにしては、どんな業界でもやがて先細りになっていくものだろう。

ストーリーは童話の世界を旅しながら、ひよこちゃんの物語を探す、というもの。
ひよこちゃんの正体は、童話で考えるとすぐに予想がつくのだけど、そう単純な話にはさせないツイストがあって、大人でも楽しめると思う。
そして最後は熱い展開に涙、優しいオチに癒される。
悪者や黒幕がいない所も安心して見られる。

ひとつ分からなかったのは、ひよこちゃんが「異物」である事を表す、デジタルノイズ的な表現。
絵本の中なのに何故ノイズ?
実はゲームの中の世界だった!とか某ユア・ストーリーみたいなオチではないので、その表現だけ気になった。
高度に発達した科学は魔法と見分けがつかない。不思議な絵本は、実は古の超科学文明の遺産だった…?
すみっコ達も人造生物とかそーゆーアレか。有機物・無機物に関わらず生命を持ってるし、あのクレーンキャッチャーの存在も怪しい!
(中学生が好きそうな考察)