がちゃん

ニノチカのがちゃんのレビュー・感想・評価

ニノチカ(1939年製作の映画)
4.3
『サイレンが金髪で空襲警報でなかったころ』という字幕で始まる、
ルビッチ監督のラブ・コメディ。

人民から搾取した宝石を売り、
食糧危機の人民のための食費に充てるためにモスクワからパリにやってきた3人組。

ところが仕事は一向に進まないため、
業を煮やした当局は、
国家の全権を委任した革命の女闘士ニノチカをお目付け役としてパリへ向かわせる。

このニノチカ、まったくの堅物で、共産主義に陶酔しており、資本主義の物欲に侵されまいと、理論武装しているような女性だった。

こんなニノチカも、
花の都パリに到着すると、
パリのプレイボーイと恋に落ちてしまう。
しかし、その恋に落ちた相手とは・・・

というわけで、
ビリー・ワイルダーも脚本に参加しているこの作品。
共産主義を痛烈に皮肉りながら、
思想対立が恋愛にはなんの障害にならないことを証明する。

もちろん、この作品の成功は、
『笑わない女優』グレタ・ガルボの緩急自在の演技が決め手になったことは間違いない。
この作品では大口を開けて笑ったりする。

恋に落ちる二人が初めて出会う場所が、
信号待ちの路上というのも作劇のうまさだし、
そこで交わされる共産社会と資本主義社会の違いから生まれるかみ合わない会話も笑える。

最初にパリに送りこまれる3人組のコメディリリーフもいい感じだし、
ラストはこの3人が『あっ!』といわせるうれしい終わり方をする。
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