閏土

エターナルズの閏土のネタバレレビュー・内容・結末

エターナルズ(2021年製作の映画)
4.3

このレビューはネタバレを含みます

ディズニー傘下の作品としてはというか、ディズニー傘下だからこそというか、挑戦的な要素を数多く取り入れた作品だった。

まず、主要な10人のキャラクターのもつ属性が各方面において多様なのが大きな魅力で、
耳が聞こえず、手話によってコミュニケーションをとるマッカリ
同性のパートナーと愛情を育むファストス
精神疾患を患ったセナ
セナと恋愛を介さない男女間の強い絆を形成するギルガメッシュ
等、そのひとつひとつがハリウッド映画やヒーロー映画として大きな挑戦になるような要素を一挙に取り入れていた。
同じ理由で賛否が別れる作品にもなっているようだが、私は最近のマイノリティの積極的参画のムーブメントに関して、個人的には色んな特徴の人が同じチームに集まっている姿を見ると興奮するし、社会的には属性による傾斜を無くす為にはフラットな措置ではなく逆の傾斜を加えた措置の方が将来を見据える上で有効だと思っているので抵抗は無いし、今作は作品の美しさを損なうこと無くそれが成されていると感じた。
性的描写をタブーとしない姿勢をディズニー作品で貫いていたことには驚いた。これに関して特に思想を持ち合わせてはいないが、イカリスとセルシの行為描写を入れることによって2人の内面は描きやすくなっただろうし、男性同士のキスシーンには特大のガッツポーズが避けられなかった。

Ramin Djawadi氏が手掛けるサウンドトラックも美しく、メインテーマは冒頭からエターナルズの世界観やこれから展開されるストーリーの空気感を十分に表現していた。

キャラクターデザインは流石MCUといったかんじで、原作では単なるマッチョ集団でしかなかったエターナルズに固有の能力と同時に体格差や金色の映える衣装も個々に用意されていたし、個体差ははっきりあるものの一定のパターンから抜け出せていない(というか、"かっこいい生物"としてデザインされていない)印象のあったセレスティアルズに関しても設定相応の威厳を感じさせる体が与えられており、しっかりと恐怖することができた。他、全身が繊維質のディヴィアンツのデザインも無機有機入り交じるかっこよさがあり、好きだった。

ドルイグが、好き。
理知的なようで、虐殺される人間を助けられなくて涙目になって怒ったり、仲間を思って感情的になったりするところが好き。
それでいて長年人心を支配し続けると命の重みを見誤る不完全さも好き。
イカリスとは性格が合わず衝突することも多いけど、結婚式においては2人の幸せな姿に自然な笑みがこぼれるドルイグが好きです。
閏土

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