盲目の青年が料理人を目指す青春を淡々と描く、素晴らしい作品でした。
料理長とケンタのすごさが、ノータイムでユウキがいちばん望んでいる言葉を選択できる会話で端的に表現されています。一方で過剰な気遣いをしないスタンスは、相手を信頼することができる人間力そのもの。
そもそも料理長がユウキを店に受け入れる決断ができたのはケンタがいたから。玉ねぎやトマトのカットなんて指を切ってしまわないか心配になりそうなところ、厨房でユウキに背中を向けられるのはお互いの信頼の証。
その輪の中にユウキが入っていくシークエンスは、ただひたすらに爽やかな気持ちになります。