Ryan

ほんとうのピノッキオのRyanのレビュー・感想・評価

ほんとうのピノッキオ(2019年製作の映画)
3.3
寓話「悪童ピノッキオ」


ストーリー
ある日、木工職人の老人が丸太から彫り出した人形が喋り出す。彼は人形を「ピノッキオ」と名付け、学校へ通わせようとする。しかし、ピノッキオは移動人形劇の一座に潜り込み、そこの団長に捕まってしまう。


主演 フェデリコ・エラピ
監督 マッテオ・ガローネ


19世紀末に出版された原作「ピノッキオの冒険」を追求!“深遠な世界観”を最新の技術を用いて"素顔"を描くダークファンタジー。

知らないピノッキオと知ってるピノッキオの面があり、結果「ディズニーは凄い」になってしまった。

多分だが、我々観客が想像していたのは「もっと残酷なピノッキオ」。しかし、今作は新解釈と言うよりオリジナルに忠実に近い。
それに新解釈やディズニー版では知られない一面を描くには弱すぎだ。ダークではあるが、当時の社会情勢や内包された皮肉さやブラックユーモアを現代において描ききれたとは言い難い。
そもそも"歴史"に近いものを忠実に再現するのであれば、もっと違った視点があったはず。
謳い文句の"悪童"ピノッキオがどこから来たのかはわからないが、当時の人々の価値観と貧困については描こうと努力は見えた。

意外と驚いたのは"ピノッキオ"を「受け入れられる人」と「そうではない人」の線引きが曖昧に感じた。この世界観で重要なその部分を曖昧にしてまで描く他のパートは出だしからつまずいているのではないだろうか?
差別も特になく受け入れられるが奇人やファンタジーの出現は当たり前のように存在するこの世界はちょっとピノッキオに都合が良すぎると感じた。
「ほんとうのピノッキオ」はもっと残酷で警告に近い童話を元に制作欲しかったところだ。
Ryan

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