市井の人々がはまりかねない絶望的状況としては、リアリティが非常に高く身に詰まる。全てのキャストがとんでもない演技をしていて、ヒリヒリする追体験を下支えする。
キーワードはさらっと登場するシロクマ効果(嫌なことを考えないようにしようとすると、逆効果で考えちゃう)。学術的に定義されてるくらいそういうもんだから、受け入れて前を向くしかないよね、ということか。ちょこちょこシロクマモチーフを登場させて、忘れないようにしてくれているのがありがたい。
やり直しのきかない人生はない。母や悪友はもちろん、"おかえり"で迎える兄や、ラスト逡巡しながらも受け入れた元妻も再生を後押ししてくれている。
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・吉岡里帆さんって「怖い目」の演技で一躍脚光を浴びた(ドラマ「カルテット」)のを忘れてました。
・寛一郎さんって見るたび役柄がちがう。なんならどの作品でもエンドロールで出てたことに気づく系なカメレオン俳優さんですね。どこから入るかで印象遍歴がガラッと変わりそう。私は「菊とギロチン」→「AWAKE」→「チワワちゃん」→今作なのでどんどん砕けた印象になっていってます。