『ラストレター』に先行し制作された、ほぼ同じストーリーの中国版。やはりこの原作はいいですね。ラストシーンの切なさに胸がきゅーーっとなります。
チィナンのクズ夫に「お前はチィナンの人生になんの影響も与えていない」となじられ、何も言い返せなかったインチャン。でも彼がチィナンのために書いて送っていた小説は、つらい境遇にあるチィナンだけでなくその娘のかすかな救いにもなっていた。離れていても人を想うことの大切さ、また創作をすることの肯定ともなっており素敵なメッセージだと思います。
また今作で確信したんですが、岩井俊二監督は知名度が低い俳優さんとの方が抜群にいいですね。『キリエのうた』は既に完成しきった有名人に、なにか気をつかっているような印象がありました。
日本版『ラストレター』でも同じくノイズになっていた「あまりに棒演技な庵野監督の起用」や「アイドルムービーを意識しすぎたつくり」が中国版ではなくなっていることが比較することでわかります。とくに後者については日本版の場合、広瀬すずさんの登場シーンがもはや「ジャーン！」って鳴ってるんじゃないかってくらい大袈裟で、かなり気になる要素でした。今作くらいさらっとしてるのが、そもそも岩井俊二監督の持ち味ですよねー。
