金宮さん

はりぼての金宮さんのレビュー・感想・評価

はりぼて(2020年製作の映画)
4.5
血税の不正利用なのでタイムリーな話題。

コント調に演出することに一貫してますね。そしてそのセンスが抜群に良い。途中まではサービス精神なのかな?と思ってましたが、違いました。闇雲に怒らず茶化せているのはクールダウンしている証拠。逆に静かな熱い気持ちを感じます。また、最後のシークエンスで病理は報道内部にも侵食していることも明らかに。作り手側からすると絶望要素なのですが、そこもさらっと表現しており演出はとにかく上品です。

乱暴なこというと、まあそうだよねばかりです。(そう感じちゃうのがよくないんですが)ただ、ニュースの連日報道のみだと感覚が麻痺してくるので、たまにはこういう作品を見てムカムカするのも大事。今作はのらりくらりとした演出がむしろ鋭利なので真っ直ぐにむかつけます。

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・のらりくらりしつつ、中盤あたりの「何度目かの議長(白髪のやつ)辞職」→「3人並んで謝罪中に顔見合わせて"なんかある?"」→「市長の無責任発言」がぱぱぱっとつながっていくあたりは、つい出ちゃった一瞬のエモーショナル。ぐっと引き込まれました。演出力を持ってるくせに、煽動的にならない配慮をしてますよねーという信頼感。

・「失踪した→いい大人が泣いてごまかすカットへの早変わり」「小太り言い訳議員と陶器のたぬきを交互に写す」「市長の制度論への熱い思いという天丼」などまだまだ拾いきれないたくさんのシニカル。

・半沢直樹や映像の世紀でおなじみの山根基世さんによる荘厳なナレーションは、今作のチープなやり取りをより滑稽に見せる装置となっており、これも悪意のセンスでしょう。
金宮さん

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