荻上直子監督。「かもめ食堂」「めがね」などのイメージで停滞していたので小林聡美さん・もたいまさこさんでシュールなスローライフを描く人、という酷い誤解をしていました。ごめんなさい。
今作の田舎暮らしはスローライフなんて甘いもんじゃないですね。途切れることなく「死」のモチーフを描写し続けることに徹底しており、幸せとはなにか?を最期から逆算するということを自然と鑑賞者に促します。
その答えのひとつが「孤独でないこと」。それが結局困難だったりするのが現代の世知辛さですが、ムロさんの台詞にあるとおり1人でも思い出してくれる人がいれば、とハードルをさげてくれます。実はハイツムコリッタのようなプチ共同体がなかったとしても、柄本佑さん演じる職員や緒方直人さん演じる社長がとても親身だったことも忘れてはならないですね。
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明らかに厭世的な雰囲気がぷんぷんしている松山ケンイチさんですが、とにかくご飯をおいしそうに食べる。ここに生命力をかんじますし、「ちいさな幸せ」というどこか新興宗教ぽさすら漂うワードにぐっと親近感がわく説得力となります。そして質素なのにどのご飯もちゃんと美味しそうなんですよね。ここは監督の得意技なんでしょう。