彦次郎

Mr.ノーバディの彦次郎のレビュー・感想・評価

Mr.ノーバディ(2021年製作の映画)
3.9
ルーティンで暮らす中年会計士ハッチ・マンセルが強盗事件から妻子や警察からも見下されるも(娘は除く)娘が大切にしていたブレスレットも盗られたことを知ってから本能を覚醒し始めるハードボイルドアクション。
タイトルのノーバディから『ワイルドスピード』シリーズのキャラを連想されますが彼の場合は冴えていなので世間から見て「誰でもない」という意味のようです。そんなハッチがバスでの事件から無双し始める展開は痛快極まれり。
ジャンルというか展開としては『96時間』や『ジョン・ウィック』(脚本が本作と同じ人)ですが『ブレイキング・バッド』で口八丁で胡散臭い弁護士役を演じていたボブ・オデンカークがハッチを演じることでよりギャップが強まって(個人的にはソウル・グッドマンの髪型ならもっと)良かったと思います。もちろん冒頭でいかにハッチがルーティンで冴えない日常を送っているかの演出があるのも功を奏しているのは言うまでもありません。冴えないタメはあるもののテンポが悪くないのも良かったです。
敵となるロシアンマフィアのユリアンがパーティーに興じ弟思いながらも基本的には冷酷非情な悪党というのも本作の良い点でハッチの頭脳プレイも含めた高い戦闘力でのされていくのを観ていくだけで実に心地が良くなる仕様になっています。そういえば本作に限らず「ロシアマフィア=冷酷残虐なワル」ってもうテンプレート化している気がしますけど、これいつから何でしょうか。それはさておき世のオッサンの心情に熱きものを投じてくれるであろう本作、監督は一人称体感アクション『ハードコア』のイリヤ・ナイシュラーです。あの作品の終盤の熱い「男の意地」を知っているだけに本作の出来も納得です。
ハッチのオヤジが『バックトゥザフューチャー』のドク(クリストファー・ロイド)で実は…というところも面白かったです。
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