あの『CUBE』の日本リメイク版…
評価良くないの知ってたから今まで観てなかった。見放題じゃなかったら未だにきっとノータッチなはず。
ヴィンチェンゾ・ナタリ監督の傑作であるオリジナル版の良さが少しも表現しきれてなかった。これは“謎の立方体の中でのトラップ地獄”という、ただこの設定が同じっていうだけの試作品ですな。
で、キャラ設定をどうして変更したんだ!?キーパーソンとなる人物がごっそり丸ごと別人になってる。一見足手まといのようで実は最重要人物となるあの天使のような輝きを持つ人物を…
一つハッキリしている事は、このリメイク版を観ても全く感動しなかったんだよね。心が動かなかった…これがもう答えな気がしてる。
なんというか、画面のこちら側に撮影カメラの存在を感じてしまった。世界観の蚊帳の外から眺めているような無駄な意識が働いてしまった。それだけ物語に入り込めなかった。
まぁずっと退屈だったのがサイコスリラー的な流れになったことでちょっと興味を巻き返したけれど。最初からあれメインでやってくれたら良かったのに。人格変異の狂った演技、良かった!あなたがいなければ、本作は山場を迎えることなくフェードアウトしていった事でしょう。
オリジナル版は謎を残すミステリアスさと、またそれ以上に心が洗われるような光の余韻を残す静かな感動が待ってる。それだけに、謎の仕組みの解釈をとって付けたみたいな本作で使われた新たな締め方は必要なかったかなと。あれでは感情がノッてこない。別物になってる。
色々とスッキリしない部分はあれど、オリジナル版の素晴らしさを再確認できたという意味では、観てみて損は無かった。