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コーダ あいのうたのyotsubato12のレビュー・感想・評価

コーダ あいのうた(2021年製作の映画)
4.8
基本洋画は観ない(と言うか顔の違いが分からず見れない)のですが何故この作品を観たかと言うと、
アマプラでドラマ見てると最初にCMみたいに1つだけ映画のプレビューを紹介してくれる。
たまたまこの『コーダ』がながれルビーの歌声に魅了された。
なんて美しい声なんだろう。もっと聴きたい。フルで聴きたい。と思った。
作品の内容関係なくルビーがどんな風に作中で歌うのか、どんな風にこの声を取り入れ生かすのか観たくてみました。

なので内容や話題性ではなく主人公の歌声から入った稀な視聴者ではあります。

ろう者の家族と1人聴者のルビー。小さい頃から通訳として存在する彼女の葛藤と成長の話。
凄く良かった。家族の葛藤、ルビーの葛藤、好きなものを理解出来ない相手へ伝えるもどかしさ、聴こえない世界と聴こえる世界の狭間でいきる『コーダ』の何とも言えない世界観が伝わってきて前半から涙腺が。
泣くもんか、泣くもんか、と思いながらも『それでも歌いたいルビー』に共感してしまい涙が。後半は止まりませんでした。

ここからはネタバレになります。まだ観てない方は是非先にこの作品を見ることをオススメします。

1番ぐっときた場面、そうきたか!と思った場面は、コンサートの1番のトリの盛り上がる場面で無音になったこと。
ルビーとマイルズのデュエットは本当に素晴らしく普通なら本番(コンサート)で聴かせる(視聴者にどうだ!泣けるだろ?感動するだろ?ってできる)場面なのに敢えて無音にすることで両親の立場になる。聴きたいのに聞こえない。最後まで2人の歌声は聞こえず、これが現実だ。歌って周りの反応見て地響きで感動する!なんて聴者のエゴで現実は聞こえない。わからない。何となく周りの姿に納得する両親。これが本来の姿なのか。と衝撃と納得と罪悪感と何とも言えない感情が押し寄せた。
聴こえる世界にいる自分が、わかってる共感してると感じてるだけで結局は聞こえない世界の葛藤は計り知れないんだなぁ。と思い知らされた。
私は目よりも耳を頼りに生きているので余計に衝撃を受けたようにも思う。

ルビーのために成長する家族。元々明るい家族だったけど漁業の人たちともコミュニケーションを取ろうとし出す両親。前に進む勇気。どんな人だって前に進む勇気が必要で、きっかけが必要で声をかけてくれる誰かが居れば前に進める。

私もV先生のような誰かのきっかけになれる大人でありたい、と思う。

ちなみに私にもV先生のように私の歌声に「いい!」と言ってくれた先生がいた。(だから前半も共感が凄くて涙腺がヤバかったのもある。)
中学校のころ。歌うのが苦手な私に「歌好きだろ」と何ヵ月も部活前に歌い方を指導してくれた音楽の先生。先生の指導のお陰で人前で歌うことが好きになり、褒められることも増え『バイオリンで唄う、感情を込める』を理解できるようになったとも思う。
あの時の先生は知らないと思うけど私が『音楽を続けていけている』きっかけの1人。
日本にも素敵な教師はいる。
いつか私も誰かのきっかけになりたい!と思うのは贅沢な感情かな。
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