【ロンタールな不自由婚】
Netflixにて。バリ島舞台のインドネシアン・ラブストーリー。なるほど尼映画もネフリを通じ、こうして最新ファッションまとって世界の目に、気軽に触れてゆくわけだ。いい流れだと思います。
ラブストーリー部分は懐かしのトレンディドラマみたいで、恋のライバルもいかにもな悪役。歯が浮きそうにもなりますが、ヒロインの親友女子が善き厚みあるクッションになったりもして、飽きは来ません。
それより、バリ伝統との葛藤が興味深いところ。本作での結婚は一般的なもの? 迷信のような不自由さを感じます。
“ロンタール文書”に書かれていることは、絶対守らなくちゃいけないらしい。関係者は苦労し、若いカップルは苦悩する。でも、そういう文化なのでしょう。
情景などはどこまでも美しく…美しいものしか見せないのでしょうが、眺め甲斐大。靴職人の仕事場が農家みたいだったり…など、異文化の興味ぶかさも揃っており、見れば、眼は損しないことでしょう。
キーとなる靴の暗喩を、もっと込めてくれるとよかったな。靴からパーフェクト・フィット…と来れば、ちょっと性差別的なニュアンスも感じますね。
脚本がガリン・ヌグロホとなっており、え、あの『オペラ・ジャワ』なんか撮っている大御所!?と驚きました。もう60代のオジサンなのに…。
他にもライター居るようだから、ラブ部分はそちら担当かな?ガリンさんは伝統部分を入れ込んだような気がします。
全体ではこれらの要素が違和感なくまとまって、ネフリ、侮りがたしとも思います。
本作、バリ島のプロモーション要素は確実にあるでしょう。それでどの程度、バリの本音が隠れたのかはわかりませんが、嫌みのない作りだし、こうした映画でもっと、バリを伝えてほしいと思いました。
<2021.8.22記>