七沖

猿の惑星:創世記(ジェネシス)の七沖のレビュー・感想・評価

4.3
〝進化は、彼らを選んだ〟
個人的に、『猿の惑星』シリーズはイマイチ興味が湧かなかった。
単に猿に魅力を感じていないから…というのが正直なところだ。でも、そういう人って実は多いんじゃないかと思う。
この映画のことも、公開当時は劇場スルーしていた。

そんな自分が情けなくなるくらい、この映画は面白かった。
『猿の惑星』のエピソード1として充分すぎる完成度だし、そもそも猿のシーザーがカッコいい…!
冒頭からの「ブライトアイズ」発言に、第一作目の『猿の惑星』を観ているとハッとする。
そして、喋らないはずの存在が初めて人語を話す瞬間は、第一作に劣らないくらい鮮烈なシーンだ。どんな言葉が第一声だったのかは、未見の方はぜひ映画を観て確かめて欲しい。

シーザーの保護者となるウィル役にサム・ライミ版『スパイダーマン』のハリー役が印象的なジェームズ・フランコ。この人の目尻がクシャッとなる笑顔、好きだなぁ。
彼とシーザーはただ一緒に暮らしたいだけなのに、善意が空回りして周囲が不穏になっていくの観ていてつらい…。

ただの猿だったはずのシーザーがどんどんカッコよく見えてきて、人間を毅然と睨み返す表情に息を呑む。
オラウータンのモーリスだけが癒しだ。

エンドロールに突入した後にも、重要な映像が控えている。
猿の惑星がどのようにして出来たのか…それを説得力をもってドラマチックに描いた、エピソード1として文句なしの作品だと思う。
七沖

七沖