金宮さん

ある男の金宮さんのネタバレレビュー・内容・結末

ある男(2022年製作の映画)
3.5

このレビューはネタバレを含みます

人間関係で先入観から逃れることは不可能。だいたいの人が「いやいや自分はそんなことない」と言いたくなるが、今作では苗字・生まれ・稼業・血縁などなど様々なアプローチで実例を示す。やってないとは言わせない。

ここで言う先入観は、在日だったり親が死刑囚だったりといった、覚悟をもって取り交わされる事実に限らない。例えば、劇中における悠人くんの苗字遍歴は本人も言う通りかなり特殊になる。自分の友人や恋人がそのような遍歴だった場合、なにかしらの想像を働かせないことってできるだろうか?

終盤、悠人くんと里枝の会話。悠人くんはかつての父が自分に優しかったのは反面教師的なことであったのでは?と過去につなげてしまう。これに対し里枝は「いやシンプルに悠人が好きだったんだよ」と返すのだが、この考え方こそ過去や先入観からの解脱だと思う。その境地に行くには、紆余曲折なんなら一回相手の全てを知る必要があるかもしれない。でもどうなっても「大切なのは今なんだ」というゴールだけは念頭に置きたい。前向きで素晴らしいメッセージだと思います。

ーーーーーーーーー

・ラストのバーのシーン。不倫バレからのシークエンスだったので、もしや不倫相手に突撃してます?と思っちゃった(実際は違う)のも、ほらー先入観で見てたでしょ!的なレトリックかと思ったんですが考えすぎかな?

・話題のインスタライブ後なので、どうしても真木よう子さん演じる育ちのよいキャラが似合ってなく感じる。という映画の主題にマッチしたよくないフィルタリングを、自分の中で思わぬかたちで実感する事故が起きた。
金宮さん

金宮さん