しょーた

オッペンハイマーのしょーたのレビュー・感想・評価

オッペンハイマー(2023年製作の映画)
4.8
ストローズのパートによってオッペンハイマーの行為が政治的な争いの文脈に回収され矮小化されたという意見があるけど、重要なのはむしろそこに回収されることでオッペンハイマ一の行為自体が蚊帳の外に置かれ、もはや「許す/許されない」の土俵にすら立てなくなったことだ

トルーマンのオッペンハイマーに対する反応や、ラストでアインシュタインが彼に告げること、その結果彼が幻視する未来のビジョンなどからも分かるように、真に世界を変えてしまう行為とは、当人のコントロールが効かない連鎖反応を引き起こしてしまう。この不可逆性が恐ろしい

オッペンハイマーという作品は、こいつがこんなものを生み出さなければ良かったのに、と断罪して「くれる」作品にはなってない。
そうやって溜飲を下げることができる構造をとっていない。むしろ世界は簡単に我々を蚊帳の外にしてくるぞという逆説的に誰も当事者になることを迫る作品
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