KHさんの映画レビュー・感想・評価

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僕はイエス様が嫌い(2019年製作の映画)

4.0

この映画は別に宗教や信仰を否定してるわけでも、皮肉しているわけでもないと思う。
なにか大きな悲劇が自分の身の回りに降りかかった時、人はその悲劇があたかも自分ごとのように振る舞い悲しみ、それをシステム(
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旅立ちの時(1988年製作の映画)

4.0

久しぶりに真正面から良い映画を観た。
ベトナム戦争を反対するため、当時使用された民間人をも犠牲に追いやる非人道的な武器・ナパーム弾の研究所を爆破しFBIに追いかけられている両親を持つダニーの物語。
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14歳の栞(2021年製作の映画)

4.0

中学2年6組の3学期に密着した完全ドキュメンタリー映画。
なんてグロテスクな企画を考えるんだろう。
あの頃の教室にいる自分にカメラを向けるなんて、自分だったら絶対に許せない。だからこそ、こんな企画を実
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ミッシング(2024年製作の映画)

4.0

映像や演技どれも良かった。
ただ描かれる悲劇が少しドラマ的過ぎるのと、石原さとみの演技に頼りすぎていた。
映像と演技には説得力がある、最後の美しいシーンに説得力を持たせるにはあと一歩、物語的なアプロー
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麦秋(1951年製作の映画)

4.5

省略されることのない原寸大の日常を描く。
小津安二郎の作品は家庭の中にカメラを向け続ける事で、変化(結婚や死などの家庭内の変化だったり、時代と共に移り変わる家族の形態の変化だったり)とその哀愁を描いて
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猿の惑星/キングダム(2024年製作の映画)

4.0

映像のクオリティとそのビジュアルが凄すぎた。序盤から一気に緊張感のある映像で楽しめた。エンタメ映画として久しぶりに面白い作品を観れた。
猿の惑星シリーズは殆ど知らない(小さい頃金ローで観た程度)が、地
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システム・クラッシャー/システム・クラッシャー 家に帰りたい(2019年製作の映画)

5.0

2024.05.15(@イメージフォーラム)
2024.05.16(@イメージフォーラム)

人を傷付けても、癇癪起こしても、とりあえず抱えたもの全てを投げ出していいから、ベニーにはずっと走り続けて欲
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青春18×2 君へと続く道(2024年製作の映画)

3.5

色んな要素がいっぱい詰め込まれていて胸焼けしそうだし、展開もドラマ的なものだったけど、その過程はしっかりと楽しめた。
18年前の台湾の異国感(今ほど急成長を遂げていない)×青春時代の組み合わせを観れた
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永遠に君を愛す(2009年製作の映画)

3.5

映画としてどうかは置いといて、面白かった。題名から純愛ストーリーかなと思ったら、結婚式という契約の象徴的なイベントにおいて「永遠に君を愛す」なんて呪いみたいで怖い。
みんなNPCみたい同じ言葉繰り返し
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不気味なものの肌に触れる(2013年製作の映画)

3.5

未完の作品「FLOOD」の序章(60分程度)。
正直この時点では何をしたいのかよく分からない。(所々、要素が散りばめられていたが)
脚本も濱口竜介でないし、この作品の制作背景が分からないことには何とも
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偶然と想像(2021年製作の映画)

4.5

キネマ旬報シアター(@千葉県柏市)

今作の会話劇はもはや文芸作品。
観客に感情を読み取らせる事を拒むような棒読みの演技も、会話が進むにつれてリアリティから抽象的になっていく展開も、明らかに他の映画と
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せかいのおきく(2023年製作の映画)

4.0

キネマ旬報で1位を取ったので遅れて鑑賞
映像と演技が本当に素晴らしい「糞」映画。
おきくの可愛らしさ、中治のまだ青い感じ、そして1番は矢亮が魅力的だった。
時代的にみれば江戸末期で、これから明治維新と
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「A」(1998年製作の映画)

5.0

地下鉄サリン事件から一年後経った世界で、残されたオウム真理教の信者にカメラを向けた作品。
オウム真理教広報・荒木浩に対し、多数のマスメディアの記者たちが押しかけ、荒木氏の真正面には多数のテレビカメラを
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THE DEPTHS(2010年製作の映画)

3.5

新文芸坐にて

濱口作品を何作か観て感じたのは、リアリティを追求しながら独自の世界観(ファンタジー)を作ることのできる数少ない作家だと思う。
この映画には様々な「境界」が記号的に散りばめられており、そ
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シティーハンター(2024年製作の映画)

2.5

5年前のテレビドラマ感がどうしても拭えなかった。
上質なエンタメが量産される時代に、割と宣伝費を掛けてこの仕上がりは厳しいのでは。

PASSION(2008年製作の映画)

4.0

新文芸坐にて

濱口監督の東京藝術大学院時代の卒業制作作品。会話劇があまりに秀逸すぎて最早映画というより文芸作品なのではと言いたくなる。
調和を保っていたある男女混合グループのあるカップルがみんなに結
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水深ゼロメートルから(2024年製作の映画)

4.0

水深ゼロメートル(水のないプール)に集まった4人女子高校生の会話劇。
個々としては仲良くても、普段の教室では交わらないであろう4人が、なぜ水のないプールに集まっているのか(水の張ったプールで泳げないの
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バジーノイズ(2023年製作の映画)

2.5

原作が漫画だからか誰にフォーカスを当てているのか曖昧で、映画全体の軸がブレていたため感情移入できなかった。
原作があるから難しかったのかもしれないけど、もっと脚色しないと映像にするときついシーンが多々
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コヴェナント/約束の救出(2023年製作の映画)

4.0

戦争ものの映画はエンタメとして描くか、批評的に描くかに別れると思う。
この映画は、戦争についてはエンタメとして描き(少なくともタリバンを絶対悪とすることで単純化され観客は殺されていくタリバンを安心して
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リップヴァンウィンクルの花嫁(2016年製作の映画)

4.0

安室と出会ったことにより、七海の「普通の人生」から次第に脱落していく。
そこでは、人は何かに依存し、搾取されて(もちろんそれ以上に何かを与えられて)、演じないと生きていけない事が示されている。
人の善
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こちらあみ子(2022年製作の映画)

4.5

俳優たちの演技が映像から浮いていたけど、それがこの世界の空虚さを表現するのに良い方向に作用していた。
この映画に出てくるあみ子以外は、リアルの痛々しいものから目を逸らして、空っぽな人形を演じている様だ
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リバー・ランズ・スルー・イット(1992年製作の映画)

4.5

モンタナの自然に囲まれた川で、一定のリズムを持って糸を投げるシーンが印象的だった。ノーマンたち家族にとって釣りとは、宗教との境界を持たず精神的行為の一種として描かれる。
その日その日を生きる弟と、着々
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人生フルーツ(2016年製作の映画)

4.5

シアター・シエマにて

団地が並ぶ高蔵寺ニュータウンの脇に、雑木林に囲まれながらひっそりと建っている津端家の1日から始まる。
次第にこのニュータウンを計画したのは、津端修一であると明かされるが、このニ
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太陽の塔(2018年製作の映画)

3.0

大阪万博(1970)の象徴であり、岡本太郎の代表作である「太陽の塔」に迫るドキュメンタリー。
経済成長をし続ける当時の日本はファンタジーに包まれた世界だったのだと改めて感じた。外国人でさえも日本人には
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星になった少年 Shining Boy & Little Randy(2005年製作の映画)

3.5

「誰も知らない」でカンヌの男優賞を取った柳楽優弥の2作目の作品。
常盤貴子、蒼井優などいい俳優がたくさん出てた。(嫌な感じで武田鉄矢が出てきたのが面白かった)
この家族はみんな不器用すぎる。1番伝えた
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ニュー・シネマ・パラダイス(1989年製作の映画)

4.0

シネマシティ(35mmフィルム上映)にて

キリスト教の権威が強かったりテレビが台頭したりなど、様々な時代の潮流を経て変わっていく映画館と年代を越えた2人の友情を撮った物語。
今の配信の時代では考えら
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自転車泥棒(1948年製作の映画)

3.5

父親の虚勢を張った姿も、機転の効かない不器用な所も、ラストの盗みに手を染めようとするあの後ろ姿も、全てのシーンに子どもの無垢な眼差しが介在していて、最後には子供の涙によって父親が救われるなんてあまりに>>続きを読む

スウィート17モンスター(2016年製作の映画)

3.5

こういう痛々しい高校生の女の子を主人公にした映画はもはや一つのジャンル(レディバードなど)だと思う。
周りの環境の辛さも、主人公自身の残酷さも全て含めて甘酸っぱい感じがしてこの手の作品は割と好き。
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名探偵コナン 100万ドルの五稜星(みちしるべ)(2024年製作の映画)

3.0

コナンファンだったら絶対にアツいんだろうなってシーンがたくさんあった。
映画版コナンは殆ど観たことなかったけど、ドラマ的展開とファンタジーの多さに驚いた。内容というより、魅力的な登場人物を楽しむ映画だ
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戦場のメリークリスマス(1983年製作の映画)

4.5

新宿武蔵野館にて
ジャワ島の夜明けの青い光に照らされたシーンから始まる。夜をこんなに美しく撮っている映画に初めて出会った。
歴史的惨事の裏側であったとしても、人間同士の機微な関係性によって動かされてき
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キッド(1921年製作の映画)

4.5

時代的にも本当はもっとシビアな世界なんだろうけど、それをあえて喜劇にするチャップリンが大好き。得意の謎の反射神経に今回も笑った。
チャーリーみたいなちょっと間抜けで優しい(落語でいう与太郎みたいな)人
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霧の淵(2023年製作の映画)

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この手の作品(ストーリー性のない作品)にしては、映像があまりに俯瞰的過ぎると思う。
作品自体は内容的にも河瀬直美の影響を大きく受けているのは明らかであるが、気持ち悪さ(勿論いい意味で主観的な表現)がな
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わたしは光をにぎっている(2019年製作の映画)

4.5

再開発によって失われていく街の面影を最後に記録した映画。
大きなストーリー性はないものの、主人公の上京を始まりとして静かに展開していく。
一つ一つの画が遠近を映すことで立体的になっていて、こだわってい
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カラオケ行こ!(2024年製作の映画)

3.5

ヤクザと中学合唱部部長なんて設定はファンタジーだけど、世界観とテーマが映画にハマってて面白かった。
一方向的に進んでく青春と成長に対する不条理への怒りと哀愁(もちろん本人たちは目の前のことに精一杯なん
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