花俟良王さんの映画レビュー・感想・評価 - 5ページ目

花俟良王

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ガンパウダー・ミルクシェイク(2021年製作の映画)

3.5

ジョン・ウィック的な殺し屋ファンタジー世界が、さらにケレン味増し増しに。新鮮さの欠片もなく突っ込みどころも多数だけど、光と色で丁寧に作り込まれたポップな嘘を楽しんだ。それでいいのだ(首チョンパもあるし>>続きを読む

夕方のおともだち(2022年製作の映画)

4.5

とてもよかった。

主演二人の好演と廣木隆一のバランス感覚に長けた熟練の手捌きで、甘過ぎず、エロ過ぎず、全くストレスを感じさせないのは凄い。タイトルはジェイムス・テイラーの『You've Got a
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JOINT(2020年製作の映画)

4.0

評判を聞いてずっと気になってた『JOINT』。

セリフが聞き取れなかったり、画が(個人的には)暗すぎる気もするんだけど、それを差し引いても初長編とは思えぬ堂々とした風格に惹きつけられた。

半グレ、
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親愛なる同志たちへ(2020年製作の映画)

3.5

1962年、ソ連で起きたストライキの弾圧と隠蔽。この時も、2022年の今も、市井の人々の目に映る祖国とは…。シャープなモノクロ画像が緊張感を増す。

フルシチョフによる所謂「スターリン批判」をさらっと
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ウエスト・サイド・ストーリー(2021年製作の映画)

4.5

スピルバーグなので絶対の信頼を寄せつつも「リメイクする必要ある?」と思っていたのだが、エゴを盾に混迷を増した現代にこそ響く作品となっていた。リタ・モレノの新キャラもファンサービス以上のものだ。

なに
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ザ・ビートルズ Get Back:ルーフトップ・コンサート(2022年製作の映画)

4.0

IMAX自体そんなに惹かれないし(全体が把握できないので)、コンサートというよりはレコーディングの体だけど、いや、この没入感はエグかった。

画はもちろん、とにかく音だ。弦の一本までクリアに聴こえる。
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ゴーストバスターズ/アフターライフ(2021年製作の映画)

4.0

物語だけでなく監督自身が「親から子へ」を実践したガチ世襲映画。

小ネタ大ネタ満載で、封切りで1を観た小学生の自分と共に楽しんだ。

MCUがマルチバースというパンドラの匣を開いた今、2016年のリブ
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GAGARINE/ガガーリン(2020年製作の映画)

3.5

取り壊されるガガーリン団地と宇宙飛行士を夢見ながらそこで母を待つ少年。

爽やかに泣ける系かと思いきや、カンヌセレクションも納得の社会性と作家性が前面に出た意欲作だった。

団地は擬人化されたかのよう
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ローレル・キャニオン 夢のウェストコースト・ロック(2020年製作の映画)

4.0

ハリウッドに程近い緑に囲まれた住宅地がウエストコーストロックの要だったことを知る。spotifyから撤退したクロスビー、スティルス、ナッシュ&ヤング、さらにジョニ・ミッチェルは本編の超主要人物であり、>>続きを読む

コーダ あいのうた(2021年製作の映画)

4.0

こんなん絶対いいに決まってんだろ、泣くもんか!と思ってたけど最後の最後で声を出して泣いたのが私です。

「コーダ」は音楽用語だけでなく「聞こえない親をもつ子供(Children of Deaf Adu
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リンダ・ロンシュタット サウンド・オブ・マイ・ヴォイス(2019年製作の映画)

4.0

良かった。
生粋のシンガーがポップスで成功を極めてから、後の病を見越していたかのように「自分と両親のために歌う」過程が凄い。
オペラ、ジャズ、マリアッチに果敢に挑み結果を出す。死後に興味はないと言い切
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スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム(2021年製作の映画)

4.0

面白かった。まわりの異様な高評価(とネタバレに配慮した歯切れの悪い感想)も納得。

個人的には詰め込み過ぎかとも思ったけど、結局シリーズへの愛と、ファンへの愛に溢れているわけで、すこぶる良い気分になり
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前科者(2022年製作の映画)

4.0

見応えありました。
有村架純も良かったけど、いい感じで歳を重ねた森田剛の説得力ある表情がとても良い。しかし非常勤とはいえ「保護司」は原則無給だとのことで驚いた。ルールはあるのに無給は良くない、と思った
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東京オリンピック2017 都営霞ケ丘アパート(2020年製作の映画)

3.5

発展のための犠牲となる生活(と記憶)の記録。集会所で映された8mmの希望あふれる完成直後のアパートが切ない。大会の是非は問うてないが、(一方的だけど)都の対応の是非は問うている。結局中途半端に開催され>>続きを読む

アイム・ユア・マン 恋人はアンドロイド(2021年製作の映画)

4.0

軽いコメディと思ってて、実際そうなんだけど、ラストで思いがけぬ深みが加わり驚いた。絵空事ではない「家族・伴侶としてのロボット」の可能性を考えさせられる。見応えありました。

ギャング・オブ・アメリカ(2021年製作の映画)

3.5

バグジーの親友で禁酒法時代からベガスの時代まで裏社会に君臨したリンスキーが作家に生涯を語る。

監督の父親がこの作家のモデルだそうで驚いた。映画としては小粒だが、政府にも加担した知能派大物の傀儡をカイ
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THE RESCUE 奇跡を起こした者たち/ザ・レスキュー タイ洞窟救出の奇跡(2021年製作の映画)

4.0

再現じゃなくてドキュメンタリー。「救出映像あるの?」と思ってたらあった!(責任の所在の記録という意味が大きいはず)。

大人でもパニックを起こす2時間の洞窟潜水をどうクリアするのか。映画館の暗闇では臨
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ザ・ユナイテッド・ステイツvs.ビリー・ホリデイ(2021年製作の映画)

4.0

『奇妙な果実』を歌わせたくない(黒人の成功が許せない)FBIの理不尽な仕打ちとビリーの凄絶な生涯を知る。

映画初出演のシンガー、アンドラ・デイの演技と歌唱がとにかく素晴らしい。劇場向けなのに海外では
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ライダーズ・オブ・ジャスティス(2020年製作の映画)

4.0

『アナザーラウンド』とは真逆のゴリゴリ軍人強面暴力パパをなんの違和感もなく演じるおマッツの無双っぷり。

社会派映画として観ると詰めが甘いかもだけど、偶然と必然を巡るブラックコメディとしてはかなり面白
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ラストナイト・イン・ソーホー(2021年製作の映画)

4.0

やっぱり痛快だった。
『マリグナント』同様、名声も実力も得たオタク監督がポップカルチャーへの恩返しも兼ねてやりたい放題。景気がいいじゃないか。
信頼の選曲も劇場仕様でベースが際立ち超カッチョイイ。

ちょっと思い出しただけ(2022年製作の映画)

4.0

ふう…、切ない…。
でもこの切なさは優しく寄り添ってくれる。心地が良い。

気心の知れた池松壮亮やクリープハイプに加え伊藤沙莉が(着実に年を重ねている)松居大悟の世界に吹かす新鮮な風。二人は確かに物語
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グレタ ひとりぼっちの挑戦(2020年製作の映画)

3.5

あの鬼気迫る国連スピーチの時点で、既に満身創痍であったことが分かるが、家族の支えや笑顔も記録されていることに救われる。

極端とも突破口とも取れる行動に肯定・否定はあるだろうが、彼女の言う通り政治の割
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最強殺し屋伝説国岡 完全版(2021年製作の映画)

4.0

粗さはあるけど伊能さんの雰囲気がマッチしてて気持ちがいい。ラストの尺をたっぷり取ったバトルも気概を感じた。

BELUSHI ベルーシ(2020年製作の映画)

3.5

日本では今ひとつ全貌が把握されていないジョン・ベルーシの短くも怒涛の生涯が描かれると同時に、やはり重要度の割に情報が少ないサタデー・ナイト・ライブの黎明期も克明に紹介される。この機会にブルース・ブラザ>>続きを読む

モーリタニアン 黒塗りの記録(2021年製作の映画)

4.0

王道法廷劇かと思ったがそこに至るまでの供述を巡る話。悪名高きグアンタナモ収容所と、政府が公認した恐ろしいプログラムを告発する。まさにアメリカの闇だ。ジョディ・フォスターのスター映画にしていないことに好>>続きを読む

SAYONARA AMERICA(2021年製作の映画)

3.5

コロナ禍ギリギリで開催されたアメリカツアー。あの素晴らしいライブ盤を聴いてから映像でも見たいとずっと思っていた。

「映画」としては少々不器用な気はしたが、慈愛と矜持に満ちた演奏とそれを受け入れる現地
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アンテベラム(2020年製作の映画)

4.0

ネタ的にチラつく作品はありますが私はめちゃくちゃ楽しめました(2回「え?」ってなりましたよ)。ミュージシャンとして既に超一流のジャネール・モネイは近年役者としても素晴らしいですね。

偶然と想像(2021年製作の映画)

4.5

案の定素晴らしかった。3つのエピソードにより立ち昇る他者との関わり。基本は(豊潤な)会話劇だが、各話に訪れる映画的なエモーショナルな瞬間に幸福な目眩を覚えた。そして独立しつつも共鳴し合う仕掛けとメッセ>>続きを読む

ドーナツキング(2020年製作の映画)

3.5

カンボジア、クメール・ルージュの惨禍から無一文でのアメリカ亡命。そして財を成し故郷の同胞たちを受け入れる…という美談だけに終わらないのがいい。ギャンブル依存や借金も赤裸々に語り、大手チェーンと闘う次世>>続きを読む

シークレット・マツシタ/怨霊屋敷(2014年製作の映画)

3.5

トカナさんの80年代のようなハッタリ宣伝魂には毎度感心するが、今回は2014年のペルーPOVホラーを引っ張り出してきた。

さすがに今更感は否定できないが、本気で怖いシーンもちゃんとある。ワイワイ見る
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クナシリ(2019年製作の映画)

3.5

国が変われば事情も変わるが、本作の監督はフランス在住。ナレーションや私見を排し、日本人の渡航は原則禁止されている国後島の「現在」を淡々と収めていく。

単純に北方領土の現在の市民生活は興味深い。そして
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皮膚を売った男(2020年製作の映画)

4.0

良かった。勝手にアルモドバル的な世界観を想像したけど、実際に発表された「アート」から着想したとのことで地に足がついている。シリア難民を主人公とし、芸術、ビジネス、恋愛、故郷、そして自我について描く。>>続きを読む

アイス・ロード(2021年製作の映画)

4.0

面白かった!特殊技術暴力人間食傷気味リーアムでなく、実直なトラック運転手として危機また危機を乗り越えていく。

『恐怖の報酬』というよりはもはやトラック版『インディ・ジョーンズ』の趣にツッコミも忘れる
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