しのさんの映画レビュー・感想・評価

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ブルー きみは大丈夫(2024年製作の映画)

3.8

ポスターの少女が主人公だが、紫のモフモフはサブキャラの1人なので注意。イマジナリーフレンドと交流する話というより、結果的には「人にはなぜ創作が必要なのか」という話になっている。畳み方はズルいが、優しす>>続きを読む

マッドマックス:フュリオサ(2024年製作の映画)

3.6

FRと同じことをもう一度やるよりは絶対に良かったと思う。ただ、あの世界観で真っ当にスピンオフを作るならこうなるだろうな、という予想の範疇ではある。良く言えば丁寧、悪く言えばまとまりすぎ。別の方向性でや>>続きを読む

からかい上手の高木さん(2024年製作の映画)

2.9

これは厳しい。そもそも今泉監督が担当する企画として無理があったように思う。監督の抑制的な画づくりや生っぽい長回しの手法と、フィクショナルなキャラクターのからかい合いがマッチしない。「好きとは何か」への>>続きを読む

デッドデッドデーモンズデデデデデストラクション 後章(2024年製作の映画)

1.8

プラスの感想が全く思い浮かばない。人間はみんな凡人で、世界がいつどうなろうと多くの「普通の」人は黙って見ていることしかできないし、「普通じゃないと勘違いしている」人は勝手な正義感で暴走するだけだから、>>続きを読む

碁盤斬り(2024年製作の映画)

2.9

元ネタの古典落語に映画ならではの肉付けをしたことによって、話がよく分からないことになっている。そもそも主人公の柳田をどいういう人物として提示したいのかが定まっていない印象。そのため、彼が通そうとする「>>続きを読む

ありふれた教室(2023年製作の映画)

3.9

非常にスマートだ。100分切るタイトさ、舞台はほぼ校内のみという潔さだからこそ、不信感の伝播を身に染みて感じられる。ある綻びから収拾がつかなくなっていく感じは、真実ではなく「それっぽいか」が全てを決定>>続きを読む

ミッシング(2024年製作の映画)

4.1

これは明確に「温度差」の話だと思う。冒頭から主人公が取材陣や夫に毒づくように、どんなに辛いことがあっても、それを他人が自分と同じだけの温度で感じてくれるわけではない。どう足掻いても人は人にとって他人事>>続きを読む

青春18×2 君へと続く道(2024年製作の映画)

3.2

まさに「いい感じにまとめる」のがうまい職人監督・藤井道人の映画だ。風景は美しく、旅先で出会う人はいい人ばかり、しかし実はキャラクター(劇中の言葉でいえば「人情味」)にあんまり興味なさそうなこの感じ。結>>続きを読む

猿の惑星/キングダム(2024年製作の映画)

3.6

投げっぱなしか! という声もあるだろうが、自分はむしろこれで終わるべきだとすら思った。そして観ていて「SWのEP7ってこういう作りにすれば(まだ)よかったんじゃないの?」と思ってしまったのだった。>>続きを読む

悪は存在しない(2023年製作の映画)

3.7

対話可能性と、それがふとした瞬間に潰えかねない危ういバランスというものを、直線的なドラマではなく、ひたすら映像や会話劇や音楽の接続と切断によって不穏かつスリリングに示すというのが凄まじかった。言ってし>>続きを読む

システム・クラッシャー/システム・クラッシャー 家に帰りたい(2019年製作の映画)

3.8

子どもの命をありのまま体感する映画というと聞こえはいいが、社会のどの枠組みにも収まることができない少女はひたすら苦しそうだし、彼女になんとか寄り添おうとする周囲の大人もどんどん疲弊していく。それはまさ>>続きを読む

ゴジラxコング 新たなる帝国(2024年製作の映画)

3.4

もはや擬人化と言っていい怪獣プロレスバトルに振り切っていて、中途半端に人間がしゃしゃり出てた前作より全然楽しめた。それでも前半はタルいのだが、初めてこの手の映画の楽しみ方が分かったような実感はある。こ>>続きを読む

名探偵コナン 100万ドルの五稜星(みちしるべ)(2024年製作の映画)

3.2

キャラ萌え路線を維持しつつ、そこに依拠しすぎない作りを模索していることがよく分かった。『黒鉄の魚影』公開後のPのインタビューで「現状のままを良しとはしていない」という旨があったが、確かに今回は解の一つ>>続きを読む

異人たち(2023年製作の映画)

3.6

教訓的な怪談みたいな印象が強かった大林宣彦版と比較すると、結末の方向性含め全くアプローチが違うのだが、これはこれで筋の通った作品になっていた。孤独感を克服するのではなく、むしろ自分と不可分なものとして>>続きを読む

パスト ライブス/再会(2023年製作の映画)

4.0

三角関係をジャッジする外部の視点からはじめて、最終的には三角関係の概念そのものが「イニョン」の体感によって解体されていくのが良かった。構成と撮影がその体感に寄与している。話の入り口は恋愛だけど、最終的>>続きを読む

ゴーストバスターズ/フローズン・サマー(2024年製作の映画)

2.4

普通につまらない。前作『ゴーストバスターズ/アフターライフ』は、言ってしまえば懐古趣味に全振りしてしまった版のSW EP7みたいなものなので、続編こそが面白くなるんではと逆に期待を持っていた。EP8の>>続きを読む

オッペンハイマー(2023年製作の映画)

4.8

ノーランが彼の持てる技術を総動員して、そしてある種捨てて、「最高級の映画」をつくった。この事実に平伏せざるを得ない。

何より、ノーランがこれまで描いてきた「世界の見え方が一変してしまう体験はあるのだ
>>続きを読む

デッドデッドデーモンズデデデデデストラクション 前章(2024年製作の映画)

2.9

めちゃくちゃ後章が気になる。気になるけども、この「気になる」作り自体はべつにそこまで有り難がるものでもないと思うし、むしろそれをやったことで作品が何を語ろうとしているのかがよく分からなくなっているので>>続きを読む

デューン 砂の惑星PART2(2024年製作の映画)

2.5

前作より10分長いが体感時間は短い。流石に今回は物語が展開するし、戦争を仕掛ける話になるため必然的にアクションも増える。サンドワーム初乗りシーンなど印象的な映像や、モノクロ闘技場など色彩のメリハリはあ>>続きを読む

関心領域(2023年製作の映画)

3.1

このアイデアは確かに凄い。ただ、アイデア一点突破という感じはする。明らかに壁の向こうで悲惨なことが起こっているのに、それが単なる環境音となっている家庭の様子を延々と映すのだが、長編映画としては厳しい。>>続きを読む

ダム・マネー ウォール街を狙え!(2023年製作の映画)

3.3

株の売買というオンライン上での群像劇のなかに、コロナ禍の閉塞的な空気がちゃんと刻印されていて、時代を映すエンタメ作品になっていた。物語としても、強者に一杯食わせる系の超王道なので、経済に疎い人でも問題>>続きを読む

ゴールド・ボーイ(2023年製作の映画)

3.6

作品内容的にもまさに「演技合戦」と言っていい。正直、勘のいい人は冒頭のモノローグで読めるので、そこまで予想が裏切られるサスペンス! みたいな感じでもなかったが、それよりも「この人はなぜこうなったんだろ>>続きを読む

アメリカン・フィクション(2023年製作の映画)

3.5

面白いは面白いが、世間知らずな中年が家族を含めた生活の「リアル」に向き合う話として観ようにもメタ構造の皮肉がそれを邪魔するし、かといって皮肉に切れ味があるかというと、この皮肉自体はそこまで掘り下げるべ>>続きを読む

ARGYLLE/アーガイル(2024年製作の映画)

2.8

マシュー・ヴォーン脚本じゃないからか、悪趣味さやキャラクターの扱いの酷さはなくなり、純粋におふざけを楽しめるテイストにはなった。しかし、ある意味「フリ」である前半があまり効いておらず、そのままツイスト>>続きを読む

パレード(2024年製作の映画)

2.4

死者への弔いを描いた作品だが、タイトルが示すように、むしろ祝祭感のある着地をみせていく。藤井組キャスト総集合の豪華さもそのテイストに寄与していた(Netflixに招待頂き試写にて鑑賞)。

しかし、な
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映画ドラえもん のび太の地球交響楽(シンフォニー)(2024年製作の映画)

3.6

クライマックスに関して言えば、わさドラのオリジナル版映画では個人的に一番グッときた。なにより、川村元気的なウェットさがなくなっていたのが本当に良かったと思う。

タイトルの演出が象徴しているように、本
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犯罪都市 NO WAY OUT(2023年製作の映画)

3.4

マ・ドンソクが強すぎるため引き伸ばし展開でしか2時間もたせられないという課題を、比較的ちゃんとした捜査と三つ巴の構図により解決していて楽しめた。とはいえ基本は場所を変えてはボコすだけ。主人公のキャラク>>続きを読む

コヴェナント/約束の救出(2023年製作の映画)

3.3

助けられたので助け返すという単純明快な構成だが、飽きずに緊張感をもって観れるのは、どことなく西部劇的な「いつ銃を抜くか」のサスペンスが徹底されていたからだと思う。とはいえ、この話を有り難がるのも危うい>>続きを読む

落下の解剖学(2023年製作の映画)

3.3

あえて事実ベースの議論ができない法廷劇にすることで、検事や弁護士という「読者」が被告人の人生を「作品」に見立てた物語解釈バトルを行うというコンセプトは面白い。こういう人の複雑さを提示する作品は好みなの>>続きを読む

マダム・ウェブ(2024年製作の映画)

3.2

ソニー・ピクチャーズに招待頂き試写で鑑賞。アクション、キャラクター描写、主人公のドラマ、ヴィランの印象深さ、カメラワーク、オチの付け方、すべてに言いたいことがあるが、総体としてそこまで腐すほどでもない>>続きを読む

ネクスト・ゴール・ウィンズ(2023年製作の映画)

3.4

スポ根ものかと思いきや、スポーツが陥る勝利至上主義のマッチョイズムについて言及する話になるとは。異国の価値観に触れてストレスから解放されていくヒーリング映画。反面、話の真面目な部分とスポーツの楽しい部>>続きを読む

ボーはおそれている(2023年製作の映画)

3.7

ある意味、これまでで一番シンプルにアリ・アスターの主題を語っている作品だと思う。「無償の愛」なんて幻想に囚われすぎるとこうなるぞということ。意外と親切設計だし、徹底してブラックコメディだしで、あまり嫌>>続きを読む

カラーパープル(2023年製作の映画)

2.9

そこまで響かず。ジャズやブルース、ゴスペルなどを取り入れた楽曲群には力強いものを感じたが、これらのミュージカルパートが段取り的であまりシームレスに感じず、また全体的に展開がダイジェスト的すぎるので、た>>続きを読む

瞳をとじて(2023年製作の映画)

2.9

老年監督が自身の人生を夢のような記憶として映画のなかに現出させるというのは、それ自体はむしろ凡庸な営みなので、こちらとしてはその監督ならではの切実さの刻印に期待するんだけど、本作は監督のキャリアという>>続きを読む

夜明けのすべて(2024年製作の映画)

4.1

もう三宅監督は何撮っても心地よい映画空間を現出させられるのではないかと思う。生きづらさを抱えた人物たちに対して、第三者的に寄り添うようなやや引いた視点でカメラを配置し、日々のなかでケアの働きかけが生ま>>続きを読む

コット、はじまりの夏(2022年製作の映画)

4.3

家庭でも学校でもない第三の居場所が、9歳の子どもにとっていかに大切か。とりわけその二つが、子どもを受容する場として機能していないとしたら……。少女が親戚夫婦の家で過ごすなんてことない生活には、確かに一>>続きを読む